「少しでも生活が良くなれば」 鍵はマングローブ 力強く生きる市民

 8月の下旬、西ジャワ州ブカシ県ムアラ・グンボン郡にあるマングローブ林を見に行った。マングローブ林は、高潮や高波などの自然災害から人々の生活を守っていた。さらに、エビやカニなどの魚介類の住処にもなっており、水産資源を豊かにする。マングローブ林は周辺地域に住む市民にたくさんの恩恵を与えていた。 

 3日付の本紙1面で紹介したラフマットさん(32)はこの日、自慢のマングローブ林を披露した。「ボランティアや企業がマングローブの植林活動をしてくれたおかげで、高波による水害被害がほとんど無くなった。このマングローブ林がなければ、この地域はとっくに無くなっている」と話した。
 ただ、地球温暖化が原因とみられる海面上昇による水害被害には歯止めがかからない。ラフマットさんは、「家を放置したまま引っ越していく市民もいる」と語った。ラフマットさんの村では、水害被害により劣化した空き家が目立つ。また、道路は舗装されていなくデコボコ。川を渡るための橋は人一人がようやく渡れる小さな竹の橋だ。
 村の状況を話した後、ラフマットさんの家族は手作りの昼食を振る舞ってくれた。中でも、マングローブ林に生息するとれたてのエビを使って作ったかき揚げは絶品だ。「ジャカルタでは食べることができないぜいたくな一品」とラフマットさんは胸を張る。
 食後には、マングローブの果実から作ったジュースを用意してくれた。ラフマットさんは、「マングローブは自然災害から村を守る以外にも、さまざまなビジネスを生み出すことができる」と述べた。
 ラフマットさんによると、ジュースは村でとれたマングローブの果実を利用して作ったものだという。ジュース以外にもドドル(伝統菓子)やスナック菓子を作ることができる。今は村周辺の大手コンビニでも販売しているそうだ。ラフマットさんは、「マングローブの果実を利用した製品だけではない。エビや魚などの水産資源を豊かにしてくれる。また、マングローブ林を利用した観光ツアーも可能だ」と語った。
 取材の最後に、ラフマットさんは「少しでも生活がよくなれば。マングローブ林は私たちの生活を支えている」とぽつり。コロナ禍と地球温暖化による打撃を受けながらも、生き残るための道を模索し、力強く生きる人々に出会った1日となった。(長田陸)

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