熱帯魚からフクロウまで ジャティヌガラ、動物市場

 ネコ、ネズミ、ニワトリ。家の近所でよく見かける。ヘビ、イグアナ、コウモリ、サル、フクロウ。これは都心ではあまり遭遇しない。動物を見たいなら動物園に行くのが筋だが、東ジャカルタのジャティヌガラにも動物が集まる一角がある。首都圏専用電車(KRL)でジャティヌガラ駅から西へ数分歩くとパサール・ヘワンにたどり着く。いわゆる伝統市場だが、ここでは思いもよらぬ生き物と出会える。

 道の両脇にはカラフルなケージや水槽が積み上げられ、小動物たちがもぞもぞと動いている。少し通りを進むとウサギを売る店があった。アンゴラという毛の長いものなど、数種類いた。どんな人が購入するのだろうか。「ペットとして人気だよ。サテ・クリンチ(ウサギの串焼き)にする人もいるし」と店主のマックムルさん(42)。少し衝撃的だが、ここで売られているニワトリやウサギは愛玩以外にも、食用にもなるようだ。
 ここで10年、ウサギやモルモットを販売しているマックムルさんにコロナ禍での商売について聞いた。「休日は賑わうし、感染拡大前とあまり変わらない。コロナ禍で家にいる時間が増え、ペットを飼う人もいるからね」という。
 さらに行くとロッカーのように積み上げられた木製の鳥かごがあった。田舎でも都会でも、インドネシアで愛される色とりどりの小鳥が、高い声で鳴いていた。コロナ禍で仕事を辞め、小鳥売りに鞍替えしたという店主のブナディさん(55)は大きなかごを指さし、「カナリアが一番人気。イケメンだろ?」と笑う。それから自慢げにタッパーを取り出し、「日本産の餌なんだ」とこだわりを話してくれた。
 そして今、インドネシアで熱いペットといえば、熱帯魚。ヒレが美しくなびくベタや、金魚、ネオンテトラに、ブラジルのアマゾンから来たというアロワナまで売っていた。水槽や照明の整備された店もあれば、路面でビニール袋に入れた魚を売っている人もいる。飼育設備を売る店もあり、もし訪れて急に飼いたくなっても安心だ。
 少し駅の方に戻ると、異世界が広がる通りがあった。並べられた竹のかごには、立派なニワトリがせわしなく首を動かしていた。これはペットか、家畜か。店主のイスさん(50)は「ニワトリを闘わせるんだよ」と話す。ここは闘鶏用のニワトリを売るエリアだ。
 けたたましいニワトリの鳴き声が響く建物があった。「パサール・ロコモティフ」と書かれた建物に入ると、色も模様も異なる数え切れないほどのオスのニワトリがいる。近くで客待ちをするのは所有者たち。そのひとりで、十数年前にマナドから来たというアレックスさん(50)は、オンライン販売も手がける。「お客さんが重さや種類を指定してくる。それに合ったニワトリの動画を送るんだ」とワッツアップの画面を見せてくれた。商談がまとまれば、すぐに車で届ける。早速これから3羽のニワトリを配達するそうだ。
 実はこの建物はもともと築40年の木造だったが、2、3年前の火事ですべて焼け落ちた。アレックスさんも大切な商品であるニワトリを何羽か失ったという。
 命がけで闘うニワトリたち。そして火災やコロナ禍を乗り越えるたくましい人々の姿がジャティヌガラにあった。(三好由華、写真も)

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