港町・ジャカルタの片隅で PIK 進む中国の「洗国」

 ジャカルタは港町でありながら、工業化の道をひた走り、環境対策や景観政策は後回し。残念ながらオーシャンビューを満喫するようなチャンスは少ない。けれども、小回りの効くバイク移動ならフォトジェニックな絶景に巡り会えるかも。そんな安易な発想から夜明け前、高層ビルが立ち並ぶジャカルタのオフィス街を北上した。

 バンテン州タンゲラン市に位置する「タンジュン・パシール」。本欄でも紹介したことがある海岸で、プラウスリブに向かう釣り船の基地でもある。
 頭上はスカルノハッタ国際空港に向けて航空機が、高度を下げて着陸進入してくる飛行ルートだ。9日にはスリウィジャヤ航空の旅客機が墜落する痛ましい事故が起きたが、この日は晴天にも恵まれ、ブルーアワーの青空に描く航空灯の軌跡が妙に美しく見えた。
 この地を訪れるのは2回目だが、前回はマリーンレジャーの取材が目的。周囲の様子を見る余裕はなかったが、ここは日本の〝海の家〟にも似た海鮮料理店が軒を連ねるグルメスポットでもあった。
 地図を見ると半島の突端には砂浜のビーチがあるという。朝食の準備に忙しいカンプン(集落)の朝を横目で見ながら、ビーチを目指すと「TNI(国軍)」の文字が目に入る。軍事施設ならば取材許可を得る必要があり、少々面倒になったと思ったが、杞憂(きゆう)に終わった。
 ここは国軍管理下にあるボーイスカウト、ガールスカウトの教練施設。敷地内にある沼地にゴムボートを浮かべ、30人ほどの若い男女が体を鍛えていた。「どこから来たの?」「インドネシアは好き?」「いつか日本に行ってみたい」。こんな質問攻めが30分ほど続いたが、朝日に照らされた彼らの屈託のない笑顔は、眩しく見えた。
 人影もまばらな白砂のビーチに出ると、インスタ映えしそうな撮影セットの用意があった。地元の漁民が観光客を呼び寄せようと自作したそうだが、完成度は高い。ジャカルタの中心部から早朝なら車でも1時間はかからず、食事がてらにふらっと立ち寄るのもいいかもしれない。
 さて、往路と同じ道を帰るのは面白みに欠ける。カメラが電池切れという痛恨のミスをしたが、中国色が強まると聞くジャカルタ湾の人工島、「パンタイ・インダ・カプック(PIK)」を回ることにした。
 「聞きしに勝る」というが、中華系飲食を中心とするPIKの発展ぶりに驚いた。そこで頭を横切ったのは「洗国」という中国の言葉。インドネシアを経済的、文化的に侵略する「紅い資本」の陰謀は、刻々と進行しているようだ。腰を据えて取材していきたい。(長谷川周人 写真も)

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