ベールを脱ぐパティンバン港 ジャカルタ〜港間を試走

 日本の円借款で建設が進められてきたパティンバン港(西ジャワ州スバン県)が、いよいよベールを脱ぐ。年内の引き渡しは自動車用バースなど一部に限られるが、新港の戦略的意義はその地政学的な強み。そこで路面状態などを見ながらアクセス状況を確認しようと、ジャカルタからパティンバン港まで約140キロを車で走ってみた。

 ジャカルタ~パティンバンを乗用車で移動する場合、もっとも一般的なルートはチカンペック高速道路を使ってまず西ジャワ州に入る。チカラン、カラワンの料金所を通過して、チカンペックで高速を降りることになろう。ここまで中央ジャカルタから70キロあまり。目的地となるパティンバン港までの残り半分は、11月下旬現在、一般道を走ることになる。
 高速出口から国道1号線に入ると大型トラックがすれ違うには十分な道幅はあるが、路面のコンディションがいただけない。移動は乗用車だったが、突き上げで揺れに揺れる。しかも産業道路であっても生活道路を兼ねているから、横切るバイクなどもあり、安定走行とはほど遠い。
 港まで残り50キロを切ったところで、1号線は片側4車線と一気に広くなる。場所によっては時速80キロ近くで走れる場所もあった。ただ、路面はやはり良好とは言い難い。中古自動車を載せたトレーラーなどを見かけるが、振動に弱い精密機器などを運ぶなら、高度な振動管理ができる車両が無い限り、素人目には厳しそうに映る。
 さて、国道1号線を東進していると、北に向かう真新しい片側二車線の立派な道路がみえてくる。1号線とパティンバン港を結ぶアクセス道路で、10月に完工、インドネシア側に引き渡された。やはり日本の円借款で建設された道路で、現場にいた警備担当者によれば、12月からは許可車両に限って通行できるようになるという。
 したがって、現状では一般車両の場合、さらに東進して村道を左折することになる。港に建設資材などを運ぶ専用バイパスもあるが、一般車両で港に向かうならこの村道を行くしかない。交通量も少なく、路面も悪くないが、道幅が狭く、大型車のすれ違いは速度を落とさなければ難しい。
 ちょうど昼食時でもあり、村道沿いの屋台で「ミーアヤム(鳥そば)」を食べることにした。「港の建設で朝夕は通勤ラッシュが起きる。おかげで商売も上々。(建設に)反対する人もいたが、村が潤うならそれはいいことだ」。屋台の亭主はこう言って豪快に笑うが、アクセス道路が開通間近であることは知らなかった。
 わかる範囲で説明すると亭主は表情を曇らせたが、北ジャカルタのタンジュンプリオク港を補完する国際港とするのがパティンバン港の構想だ。将来的にはこの村にも関連産業が根付くだろう。そう期待したい。
(長谷川周人、写真も)

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