苦渋の選択

 「インドネシア駐在の任期延長が決まり、退避帰国中の妻に、戻った家族もいるので帰ってきてはどうかと打診していますが、『検討中』と先延ばしされています。最近は、電話していても気まずさを感じます」
新型コロナウイルスの「パンデミック(世界的大流行)」の収束が滞る中での任期延長とのこと、外地で働く皆さんのおかげで今日の日本の経済があると痛感し、心より敬意を表したく思います。
 帰国中のご家族のことは①このまま退避帰国家族②ジャカルタに戻り帯同家族とする③本帰国させるという三択から苦渋の選択をすることになるでしょう。ご家族の将来にかかわる大切な選択なので、ここは冷静に奥様の気持ちをくみ取り、熟考してみましょう。
 まず、退避帰国者の奥様たちは、一見、安全地帯に移って安心のように見えますが、実は心は不安定になりがちです。常に駐在地に残った夫のことが心配な上に、お子さんのケアを一人で抱え、家は仮住まいで、少なからず喪失感情を抱えています。一時帰国では働くこともできず、安心できる場所も持てず、いわば宙ぶらりんの状態です。実家に戻った奥様たちも、必ずしも居心地が良いとは限らないようです。
 賢明で真面目な奥様ほど、帰国後の生活の立上げから今に至るまで、多大なエネルギーを投入して疲弊しており、この上駐在地に戻って生活できるか自問自答しているのではないでしょうか。駐在地に戻るかどうかは個々の家族の判断で決めることなのに、責任感が強い奥様ほど、自分が日本で寛いでいるように周りに見られているのではないかと、心がざわつき、思い詰める傾向にあります。
 今の奥様にしたら、「日本は駐在地より安全で、楽な思いができたでしょう」的な見方や、「他の家族も戻って来たから」といった言葉は、心がなえてしまう言葉なのです。奥様への理解と心を慮ることができないと、奥様の心を動かすことはできません。
 まずは、奥様に労いの言葉をかけてあげてください。その上で、次は対応策の説明ですが、ご自身の思いは一旦封じて、夫婦一緒に問題を共有することから始めましょう。先の3つの選択のそれぞれの場合に、家族の一人一人がどうなるかをシミュレーションしてみましょう。どれを選択してもメリットとデメリットがあるはずですので、二人で確認し、認識し合いましょう。こうした作業を通じて、他所の家族に合わせるのではなく、自分の家族の一人一人の今に対しどういう影響が出るかという分析ができるようになります。小学生にもなれば、お子さんがどうしたいかも聞いてあげてください。
 ご主人と相談できれば心丈夫になり、奥様の心は落ち着いて来るはずです。結果的に、どの選択をしたとしても、奥様の心は貴方に寄り添いたいと思うようになるはずです。
 (コミュニケーション専門カウンセラー・家族関係心理士 高崎美佳)
 本稿へのご質問などは、カウンセリングルーム「ミカモーレ」(mamapre12@gmail.comまで。

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