ユドヨノ大統領が式典出席 東ティモール独立10年 混乱期克服 内外にアピール 新旧大統領と相次ぎ会談

 ユドヨノ大統領は二十日、十九日から訪れていた東ティモールの首都ディリで、二〇〇二年五月二十日に同国がインドネシアから独立して十周年を迎えたことを記念する式典に出席した。一九七五年のインドネシアによる武力併合後、独立派に対するインドネシア国軍の弾圧で多くの犠牲者を出し、一九九八年のスハルト政権崩壊後の混乱期に独立した東ティモール。二〇〇〇年代初頭、東ティモールに続いてアチェやパプアなど分離独立運動を抱える地域が次々と独立する「バルカン化」の可能性も懸念されたが、インドネシアは東ティモール独立から十年を経て政治・経済を安定軌道に乗せ、地域の盟主としての存在感を復活させた。二〇〇五年四月以来となるユドヨノ大統領の約七年ぶりの東ティモール訪問は、混乱期を乗り越え、民主化を進めてきたインドネシアが東ティモールと新時代の関係を築いていくとの方向性を内外に示すものとなった。
 二十日の新大統領就任に先立つ十九日、ユドヨノ大統領は先月の大統領選で敗れたラモス・ホルタ大統領と会談。

 ユドヨノ氏は一九九九年の独立を決定する住民投票前後の騒乱で、インドネシア国軍が民兵を使った秘密工作で住民を虐殺した人権侵害事件の真相を究明するため、両政府が共同設立した「真実と友好委員会」について言及し、「われわれは過去の問題を解決しようとする委員会の提言に基づいて歩んできた」と振り返った。
 ホルタ大統領は、戦略的パートナーである両国は協力関係を一層強化しなければならないとした上で、「われわれはインドネシアが東南アジア諸国連合(ASEAN)への東ティモールの加盟を支持していることに感謝している」と伝えた。
 同日、ユドヨノ大統領はシャナナ・グスマン首相とも会談。グスマン首相は七千人の東ティモールの大学生がインドネシアに留学しているなど、さまざまな分野で協力が深化していると紹介した。
 同日夕には一九九一年にインドネシア軍による虐殺事件があったディリのサンタクルス墓地を訪れ、献花。その後、インドネシア統治下で死亡した国軍兵士が眠るスロジャ墓地も参拝した。
 二十日未明にはタウル・マタン・ルアク新大統領の就任式に出席。同日の独立記念式典後には、ルアク大統領と初の首脳会談を行った後、同日午後に帰国の途に就いた。

◇東ティモール
 十六世紀にポルトガルに植民地化された東ティモールは、第二次世界大戦後もポルトガル領として継続。一九七四年にポルトガルが撤退したが、七五年にインドネシアが侵攻し、七六年に併合。その後、ゲリラ闘争を続ける独立派に対するインドネシア国軍の弾圧で約二十万人の犠牲者が出たとされる。スハルト政権崩壊後の九九年八月、住民投票で独立派が圧勝。住民投票前後には国軍が併合派の民兵を使って介入し、住民千人以上が虐殺されたとされる。二〇〇二年五月に独立記念式典を開き、二十一世紀最初の独立国家となった。

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