インドネシア食材で和食を作る おから煮、ゴマ和え、西京焼き!? オンチョム、シンコン、タペ…
在留邦人が増えたこともあり、ジャカルタでも大抵の日本食材が手に入るようになった。しかし、せっかくのジャカルタ生活。インドネシアならではの食材を使い、日本の味を再現したい。
■タペの西京焼き
メインディッシュには、以前、月刊誌「南極星」で紹介されたレシピを参考に、もち米の発酵食品の「タペ」を使ったサワラの西京焼きを作った。
米麹で発酵させるタペの風味は、酒粕そのもの。これに砕いたテンペゴレンと醤油をひと回し加えれば、「なんちゃって西京味噌」の出来上がり。
一晩寝かせたサワラは、ふわふわなめらか。淡白な身を口いっぱいに広がる味噌の風味が引き締め、ご飯が進む。いつもの焼き魚が、〝ワンランク上の味〟に。サワラ以外に豚肉も漬け込んでみたのだが、こちらもおいしく仕上がった。
そのまま食べるにはクセの強いタペだが、料理に混ぜれば用途が広がりそうだ。
■オンチョムのおから煮風
落花生や大豆などにアカパンカビを使って発酵させたオンチョム。オレンジ色の胞子をまとった姿は、カビそのもので、食欲は全くそそられない。ところが、友人いわく「味はおからにそっくり」。勇気を出して買ってみた。
細かく砕いたオンチョムに、人参、枝豆、シイタケ、油揚げにヒジキを加え、軽く炒めて「おから煮風」に。
本物のおからに比べると、舌触りはなめらか。シンプルな白だしの風味に、凝縮された豆の旨味が花を添える。おかずによし、晩酌のお供によし。そんな「名脇役」となった。
■シンコンの葉とバヤムのゴマ和え
シンコン(キャッサバ)の葉。パダン料理の副菜で供され、こってりしたイメージがあるが、元来あっさりした食材で、和食にも合うと踏んだ。さらに、鉄分豊富でジャワホウレンソウとも呼ばれるバヤム(ひゆ菜)を加え、ゴマ和えにした。
茹でた段階でバヤムの赤色が抜けてしまったのは残念だが、この目論見も大成功。ほうれん草のようなシャキシャキ感はないが、ゴマの風味を引き立てて、後味にはほろ苦さが残る。飽きのこないシンプルな一品だ。
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貴重なジャカルタでの生活。近所のスーパーに行けば日本では見ない、いろんな食材が並んでいる。読者の皆さまも、勇気を出して試してみてはいかがだろうか。(高地伸幸、写真も)