大空に駆け上がる旅客機 時代の転換期を実感 スカルノハッタ国際空港

 首都ジャカルタの空の玄関口となるスカルノハッタ国際空港。日本からの直行便ならカリマンタンを越えてジャワ海を横切り、機体は滑走路に向けて一気に降下する。この間に摩天楼を見下ろすこともなく、〝首都入城〟の感動に欠けるといつも思う。しかし、航空路を変える訳にもいかず、ここは発想の転換で上空から見慣れた周辺農村を自分の足で走ってみよう。地上から大空を見上げれば、新たな発見があるかもしれない。

 航空機撮影なら超望遠レンズや脚立を用意したいところ。だが、大規模社会的制限(PSBB)下の取材でもあり、機材は最小限とし、今回も自転車で行った。休日取材は息抜きも兼ねたいというのが本音なのだ。
 自転車を足に選んだのは、もう一つ理由があった。現地における移動手段の確保だ。公園といった施設がある成田国際空港や厚木航空基地などとは異なり、スカルノハッタ国際空港一帯にそうした環境はない。しかも、風の具合などにより撮影位置は調整を繰り返すから、自力で移動できる交通手段が必要と考えた。
 空港までは中央ジャカルタにある居宅から約30キロ。チサダネ川の支流に沿ってほぼ一本道だ。道幅も広く、ハイスピードを維持しても不安感はない。都市圏なのでコンビニなど給水拠点もあり、軽装で行けるお手軽コースと言えそうだ。
 現地到着後、空港を周回しながら様子を探ると、この日の運用は真ん中の第2滑走路のみ。すると北西側フェンスからの見物となるが、ありがたい事になんの障害物もない。ただし、手前に第3滑走路があり、フェンスは3メートル前後と、金網越しになることは覚悟する必要があった。
 陣取ったのは、離陸と着陸の双方が見渡せるターミナル3と2のほぼ中間地点。さっそくスマホを取り出し、航空機の位置情報を確認するアプリを起動した。ここまですべて順調かに見えた。が、甘かった。時間帯にもよるだろうが、まず離発着便が少なすぎた。もうひとつの致命傷は陽炎だ。滑走路とほぼ同じ高さとなるから、強烈な日差しを浴びた機体はゆらゆら、めらめら。どうにもならない。
 もはや〝状況終了〟かと思ったが、大空へと駆け上がっていく旅客機をみていると、ちょっぴり勇気をもらった気がした。著しい減便体制とはいえ、空路が機能している事を確認できたからかもしれない。
 考えてみれば、日本人の多くは四方を海に囲まれた島国に生まれながら、190超の国・地域がビザなし渡航を認める〝世界最強〟のパスポートを手にしている。にもかかわらず、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、世界中の国境が次々と閉鎖。無期限の足止めを食らい、国境の重み思い知るところとなった。
 しかし、現状が異常事態なのであり、いずれ平常時に戻る日はくるだろう。ふと周囲の農村を見渡せば、およそ海外とは無縁であろう人々の牧歌的な暮らしがある。大国・インドネシアは彼らを引っ張りどこに、どう向かうのか。大空に消えゆく機影を追いながら、実感するこの時代の転換期を腰を据えて見ていこうと思った。(長谷川周人、写真も)

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