大根引っこ抜き大会にも参加 「狭小地活用で緑を」 ジャカルタ代表 東京・練馬で「世界都市農業サミット」

 東京23区最大の農地面積を持つ練馬区が、ジャカルタなど世界5都市の専門家を招き都市型農業のあり方を考える「世界都市農業サミット」が11月29日~12月1日、同区で開かれた。他に招かれたのはニューヨーク、ロンドン、トロント、ソウルの各都市で、ジャカルタからはジャカルタ特別州のタウフィック・ユリアント都市農業課長、ディア・メイディアンティ元部長、南ジャカルタ区のラティファ都市農業者団体代表の3人が参加。同区内の農家訪問や国際会議に参加した3人に同行した。 

■多品目の農家に驚く
 同区には23区内の農地の約4割(203ヘクタール)が集中し、江戸時代から栽培される大根のほか、キャベツやジャガイモ、トマト、栗、柿、ミカン、ブドウ、梅、キウイなど約100種の産品がある。
 サミット初日、各都市の一行は区内の野菜農家やブルーベリー農園などを訪問。タウフィック課長ら3人は多品目を作る練馬農家に驚いた様子で、肥料の使用法などを熱心に聞いた。
 また3人が大きな興味を示したのが、農家が設けた野菜や果物の自動販売機。ブロッコリーやユズなどが100円程度で買える機械に、メイディアンティ元部長は、「初めて見て驚いた」「ジャカルタでも取り入れたい」と話していた。
 この後、一行は、肥料を溶かした養液を使い、狭い土地で農作物を栽培する「養液栽培」を行うトマト農家を訪問。ハウスでの効率的な栽培現場を見学し、3人は害虫対策や病気発生時の対応などを熱心に聞いていた。

■「緑の小道」プログラム
 3人のハウスでの熱心さには理由があった。ラティファ代表らによると「ジャカルタは農地が極端に少なく、小さな土地で収穫量を増やせる技術が必要」だからだ。同州の経済活動で農業の占める割合は0・1%だけ。そこで同州が数年前から進めるのが自宅や路地などの狭小地を利用し、住民が水耕栽培を行う「緑の小道」(ガン・ヒジョウ)プログラムだ。
 30、1日の国際会議で、メイディアンティ元部長らは同プログラムを中心に報告。希望者には州が種苗2株を無償で提供▽州は肥料の使い方など栽培法も指導▽収穫物は近所の食堂やバザーで販売が可能││などの内容を紹介した。
 同プログラムは現在約500カ所で実施され、パクチーや空心菜、サトイモ、唐辛子、ハーブなど多様な農作物を栽培。一部はジュースにも加工されるという。プログラムを実践するラティファ代表は「参加者には主婦も多く、路地の壁も使い栽培している。健康的な野菜の入手や大気汚染の改善、収入増加につながる」と説明した。 
 また、タウフィック課長は「ジャカルタの都市農業は他の(参加)都市のように大規模ではないが、狭い地域を使い緑を増やしたい」と発言。これらに対し、出席者からは「インパクトのある取り組みだ」などの称賛の声が上がった。
 このほかサミットに参加した各都市は食育や教育、移民・環境対策、コミュニティー作りなど都市農業の目的や効用、実践例を討議。「今後も相互に連携し、都市農業の発展に貢献する」との宣言を採択、終了した。

■引き抜いた大根数競う
 これに先立つ30日、一行は区内の「練馬大根引っこ抜き競技大会」(主催・練馬区・東京あおば農業協同組合)にも参加。毎年開催され、時間内に引き抜いた大根数を競うもので、3人も加わり汗を流した。
 タウフィック課長は同大会について「参加することで子どもや市民は農家の苦労を知り、農業に興味を持てる。ジャカルタでも他の野菜で同様の大会を開きたい」と発言。今回の訪問については「練馬区は農家が情熱を持って健康的な農産物を提供している」「(練馬区は子どもが体験農業を行うが)われわれも未来の農業者を育てる教育に力を入れたい」と話していた。(福原直樹、写真も)

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