キックボードにつられて サバン通り・ロマンサ くつろぎと驚きを 

 ある昼下がり、中央ジャカルタのサバン通りを歩いていると、グラブの電動キックボードを店頭に並べた店が目に入った。欧州や米国、シンガポールでなど流行り、最近インドネシアでも徐々に見かけるようになったキックボード。BSDシティ(バンテン州)やスカルノハッタ空港(同)で使われていたが、いつの間にサバン通りにまで及んでいたのか。ついつられて入店してしまった。

 店の名前はロマンサ。「キックボードが置かれたのは2カ月くらい前からかな。昼間に使う人はほとんどいないよ」。学生アルバイトのイマイさん(21)が教えてくれた。昼は道路が車で埋まり、歩道はでこぼこ、キックボードが走れたものではない。使われるのは交通量が減った夜だという。
 店の営業は基本午後11時までだが、店頭の電動キックボードはQRコードをアプリで読み取ることで24時間利用できるという。キックボードを使いたい人の来店を取り込む、というよりは、ちょっと変わった装飾品として使われているのが現状のようだ。
 こじんまりとした外観の割に、店内は広かった。サンドイッチ片手にパソコンを広げ、熱心に仕事をするビジネスマンやおしゃべりを楽しむ年配の女性まで、幅広い客がいた。
 2階にテラスと喫煙席がある。向かおうと店内を進むと、突然長く狭い階段が出現。1人通るのがやっとの幅で、20段以上あった。「上っている途中、前から人が降りてきたらどうすればいいのか」。困惑して周りを見ると、壁に一編の詩が。直訳すると、「狭い階段も、狭い心よりは危険ではない」。お互いが通るまで待つ心の余裕を持て、ということか。
 上階に着き、食事を注文。「ナシ・ゴレン・クハス・ウブド」(4万2千ルピア)と「チーズサンドイッチ」(3万2千ルピア)、飲み物はコーヒービール(2万9千ルピア)にした。
 このナシ・ゴレンは具が混ぜ込まれず、黄色い米に目玉焼きを載せて出てきた。隣に野菜や鶏肉の練り物が添えられた、ヘルシーな一品だった。チーズサンドイッチは食パンにチーズを挟んだ素朴な一品。コーヒーと共に、朝食に食べても良いかもしれない。
 コーヒービールは、ビールとあるものの残念ながらノンコール。独特の香りで、好き嫌いが分かれそうだ。
 テラス席は日中、良く日が当たり気持ちいい。メニューは写真だけのページを含め20枚あり、まだまだ個性的な逸品が眠ってそうだ。くつろぎと驚きを持ったこの店、時間と心の余裕があるとき、訪ねてみてはいかがだろうか。(大野航太郎、写真も)

◇ロマンサ
☎  021・3190・5904
住所  Jl. H. Agus Salim No. 18, Menteng
営業時間  月~木曜 午前8時~午後11時
 金~日 午前8時~翌午前0時

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