ザイニ氏当選確実に　元独立派最高指導部　アチェ州知事選　現職イルワンディ氏及ばず

　ザイニ氏組は、インドネシア調査研究所（ルンバガ・サーベイ・インドネシア＝ＬＳＩ）の開票速報で五四・五三％、インドネシア調査研究センター（リンカラン・サーベイ・インドネシア＝ＬＳＩ）の開票速報で五四・五三％の得票率だった。イルワンディ氏組の得票率はいずれも約三〇％。

　ザイニ氏はＧＡＭが母体の地方政党アチェ党が擁立した。インドネシア調査研究センターのチャンドラ・ヘンダルノト研究員はＧＡＭの影響力が強かった地域でザイニ氏組が多くの票を獲得したことから、「アチェ党の支持を固めたことが勝利につながった」と指摘。
　インドネシア大の政治評論家のファフリ・アリ氏は「アチェ市民は今でもＧＡＭに関わりを持つ人物を尊重している。ＧＡＭの元メンバーは非常に組織されたネットワークと忠誠心を持つ政治勢力になっている」と分析した。
　ザイニ氏は開票速報を受けて、「アチェ党が次の五年間、アチェを主導できることが確実になったことに対して、われわれはアチェのすべての人々に感謝したい」と表明。イルワンディ氏はザイニ氏陣営やアチェ党が選挙違反を犯した可能性があるとして、訴訟を起こす構えを見せている。
　ザイニ氏組は選挙戦で、インドネシア政府とＧＡＭの間で二〇〇五年に締結されたヘルシンキ和平合意と合意に基づいて制定されたアチェ自治法を基礎に、市民の幸福と正義、自立を達成すると表明。州の官僚機構改革や天然資源の有効活用、バランスが取れた持続可能な開発を目標に掲げた。
　ザイニ氏の弟のハスビ・アブドゥラ氏（現アチェ州議会議長）は前回の〇六年の州知事選で副知事候補として立候補したが、イルワンディ氏組に敗れていた。ザイニ氏組の副知事候補のムザキル・アチェ党党首は和平合意前、軍事部門を率いるＧＡＭ司令官を務めていた。