硬軟両面の選挙戦略

 大統領選挙に向けた選挙キャンペーンが始まり1カ月半が経った。どういう選挙戦略で進めているのか。ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領陣営の様子を探ってみよう。
 陣営には表と裏の選対組織がある。表は選挙管理委員会に登録され、各地で大規模な集会を企画運営する。裏の選対は、より日常的なロビー活動やイメージ戦略を主導する。ここにはルフット・パンジャイタン海洋問題調整大臣が統括する二つの組織があり、それぞれが多数の下部チームを動かしている。
 この裏選対は、硬軟両面の戦略を取っている。ソフト面で主となるのが、ヤング有権者層を全国横断にターゲットとしたソーシャルメディア戦術だ。ジョコウィがチョッパーバイクにまたがり、「イージーライダー」のノリでツーリングする動画は、「クールでいいね!」を誘う典型だ。
 また「ガンズのコンサートに行きたい、でも仕事で行けない、好きな曲はスイートチャイルドオーマイン」とメディアに紹介されるジョコウィの言動も、ヤングのハートをゲットする狙いでSNSに拡散される。
 こういうソーシャルメディアを駆使した「空中戦」とは別に、とても泥臭い「地上戦」も裏選対が手がける。彼らはそれを領域戦と呼び、土地ごとに個別の戦法を使う。とくに2014年選挙で負けた地方のテコ入れを重視する。
 ここで効果を発揮するのが汚職捜査と絡めた強硬圧力だ。ことしだけで二つの州と24の県で自治体首長が汚職で逮捕されている。異例な多さである。実際、前回約7割の票をプラボウォに取られた西スマトラ州や西ヌサトゥンガラ州で、州内の首長たちは戦々恐々だ。先日パダンを視察したが、野党出身の州知事も親ジョコウィの態度を示した。州内12県の知事もジョコウィ支持を表明した。
 西ヌサトゥンガラ州でも、最近まで州知事で、いまだ人気の高いザイヌル・マジがジョコウィ支持に寝返った。彼も汚職疑惑を抱える。
 アチェ州も前回選挙でジョコウィが負けたが、州知事が最近汚職で逮捕された。彼は自由アチェ運動(GAM)出身で、州内の県知事の多くも同様だ。このGAM系知事の汚職体質は有名で、ここをギリギリやってジョコウィ支持に鞍替えさせるのが裏選対の仕事である。
 ジャワ島でもバンテン州と西ジャワ州は前回負けている。しかし、今回バンテン州では裏社会に君臨するソヒブ一家がジョコウィ支持を表明した。西ジャワ州でも4県知事が汚職で逮捕されており、じわじわと鞍替え圧力が迫っている。硬軟両面戦略は滑り出し順調のようだ。(立命館大学国際関係学部教授)

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