【メラプティ】表と裏の選挙戦

 アジア大会も終わり、政界は来月から始まる選挙戦に向けて戦略を模索中だ。選挙戦は来年4月まで続く長丁場。再選を目指すジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領と対抗馬プラボウォ。両者はどういう戦いを繰り広げるのか。その展開を予想してみよう。
 ジョコウィが選挙キャンペーンでアピールするのは、過去4年間の成果だ。どのような成果を訴えるか。おそらくインフラ開発と社会保障が全面にくる。
 この4年間、全土で道路や鉄道や港のインフラ事業を精力的に進めた。それで投資も雇用も増えた。一方で社会保障も充実させた。各地で医療カードや教育無償カードの普及を推進した。おかげで貧困率は下がり、人口の1割未満となった。こういうアピールをするキャンペーンになろう。
 対するプラボウォ陣営は反論を準備する。インフラ推進は借金を増やしただけ。貧困率を下げたというが、それは1日1ドル以下の極貧層であって、2ドル以下でくくれば人口の4割はまだ貧しい。公約だった成長率7%も実際は5%止まり。現政権に成果なし。こういう主張で国民に政権交代を訴えることになろう。
 しかし、その「表」の選挙戦と連動して「裏」の選挙戦が繰り広げられる。そして、そこが真の政治の戦いとなる。それは票動員の戦いであり、勝敗は陰謀や感情といった政策とは無縁のもので決まる。
 実際、支持率の高い現職に対して、政策論での戦いには限界がある。より効果的なのは、現政権は危険で、継続したら脅威になるという陰謀論の拡散だ。危機と脅威をあおって、団結して戦おうというアピールが票動員の力となる。具体的には、ジョコウィのインフラ推進を外資の問題にすり替える。「インドネシアは外資の食い物だ。特に中国の投資と労働力の流入で、国は共産主義に乗っ取られる寸前だ。アンゴラやスリランカのような目に合う前に、中国の手先となった現政権をつぶさないと危険だ。そのための愛国主義団結だ」。こういう論法で、プラボウォ陣営は裏の選挙戦をリードするであろう。
 ジョコウィにとって、ルピア下落が大きな不安材料になっている。彼の支持層は下層階級に多い。ルピア安で生活品の物価上昇となれば、このコア支持層から不満が噴出する。そうなると、ジョコウィの選挙戦は攻めよりも守りが主となる。財政や物価に関する説明や、さまざまな公約未達成の責任を求められるからだ。
 4年前、多くの有権者はジョコウィに変化を期待した。その期待に応えてきたということを攻めの姿勢で訴えないと、彼は劣勢になる。プラボウォは攻撃型キャンペーンに長けた人物だ。前回、選挙前に30%近く差があった世論支持率も、投票では接戦となった。今の世論調査では支持率の差は20%程度である。プラボウォにとっては前回より出だし好調だ。20%の差は、これから間違いなく縮まるであろう。(本名純・立命館大学国際関係学部教授)

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