【メラプティ】FBによる情報戦争

 フェイスブック(FB)の個人情報流出が、世界的な問題になっている。被害件数の多さは、米国、フィリピンに次いでインドネシアが世界第3位。これはIT時代のリスク管理をどうするかという社会問題のみならず、選挙政治の急速な変容を示唆している。
 この国のFB利用者は推定1億1千万人。東アジアでダントツトップだ。人口2億6千万人の約半数に届きそうな数字である。これはスマホ普及率の拡大と密接に関係しており、今では人口の47%がスマホ利用者だといわれる。その背景には、100万ルピア程度で購入可能な格安中華スマホの普及がある。ゴジェックブームを支えているのも、この格安スマホだ。
 ではスマホはどういう社会層に広がっているのか。中産階級と呼ばれる人たちは、数でいえば約5千万人。人口の20%程度だ。富裕層は一握りなので、47%のスマホ普及率というのは、低所得層への急速な浸透を示している。
 ちなみに、俗にいう貧困層というのは人口の10%程度だが、1日2ドル以下で生活する「準貧困層」と一緒にすると約40%になる。この低所得層に格安スマホが急速に広まっているのである。
 彼らのスマホでの情報アクセスには特徴がある。高速でデータ量も多い回線は高額なので、低速でデータ量が限定される安価なプランを使う。都会でなければ4Gなど論外で、2Gや3Gでのアクセスになる。その環境で使うスマホでは、FBやツイッター、そしてワッツアップが支配的になる。特にFBは情報収集に欠かせない。彼らにとっては、FBこそがインターネットであり、スマホでFBをいじる以前にネットなど使ったことがない人が大勢いる。
 こういう人たちのデジタルリテラシーは高くない。FBなどは、ユーザーがクリックした情報をアルゴリズムで解析し、特定の情報ばかり集めてくる。いわゆるフィルターバブルとかエコー・チェンバー現象に陥りやすい。多角的な情報アクセスは大事だけど、主要メディアの動画などはデータ量も大きく、パケット料の増加になるので無理。その結果、情報が偏向し、うわさやフェイクニュースに抵抗が薄れていく。
 このサイバー空間が選挙政治で大きな意味を持つ。候補者に関するうわさや評価が簡単に印象操作できるからである。特に宗教や民族やスキャンダルに絡む話は急速に拡散し、何が真実なのか判断が難しくなる。
 これから来年4月の大統領選挙までの1年、インドネシアは、その情報戦争に突入する。次回はその実態を見ていきたい。(本名純・立命館大学国際関係学部教授)

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