サンゴ保全へ新指標 健康状態、一目で判別 LIPI 366カ所で調査

 インドネシア科学院(LIPI)海洋学研究所がこのほど、サンゴ礁の健康状態を10段階で示す新指標を作成した。サンゴ被度(サンゴが海底を覆う面積の割合)や回復力などを総合して算出し、全国366カ所のサンゴ礁の健康状態が一目で判別・比較できるようにした。世界有数のサンゴ礁を誇るインドネシアで、保全活動への活用が期待される。                    

 これまでは主に、サンゴ被度がサンゴ礁の状態を知る目安として使われていた。だが場所によっては、被度が高くてもサンゴにすむ魚が少ないケースや、その逆のケースもあり、被度だけで健康状態を判断するのは難しかった。
 新指標はサンゴ被度に加え、サンゴの回復力、サンゴに住む魚のバイオマス(重量)といったデータを数値化し、その合計から10段階の総合的評価を算出した。1が最も状態が悪く、数字が大きいほど「健康」になる。
 LIPIによれば、サンゴ礁の指標を独自に開発した国は世界でもまだ少ない。指標づくりに携わった同研究所のギヤント研究員(50)は「サンゴ礁の状態が一目で分かるよう、できる限りシンプルな指標を心がけた」と話す。
 インドネシアには計569種のサンゴが分布するとされる。国の東半分は豊かな海洋生態系を持つ「コーラル・トライアングル」に含まれている。
 同研究所は1999年から「サンゴ礁保全管理計画(COREMAP)」の下、全国でサンゴ礁の状態調査に取り組んできた。今回は2014〜16年の調査結果をもとに、32地域366カ所の指標を算出、報告書にまとめた。
 その結果、「指標5〜6」のサンゴ礁が208カ所で全体の57%を占めた。やや状態が悪い「指標3〜4」は99カ所、状態が悪い「指標1〜2」も28カ所あった。一方、海洋環境保護に取り組む東南スラウェシ州ワカトビではカレドゥパ島北側で指標9、トミア島東側で指標10など、全体的に評価が高かった。
 同じ地域でも場所によってサンゴの状態は異なる。例えばパプア州ビアク島南岸では、港に近い2カ所のポイントで最も状態がひどい「指標1」となったが、そこからわずか3キロ東のポイントでは「指標5」、さらに14キロ東では「指標7」と評価が高かった。
 ギヤント氏は「環境悪化には、港の開発や都市からの汚染物質などさまざまな原因が考えられる。新指標を使うことで、各自治体や研究者らがサンゴの状態を把握しやすくなる。サンゴや生態系の保全に役立ててもらいたい」と話す。
 LIPIは今後もサンゴ礁の調査を続け、指標を毎年更新していく方針だ。(木村綾)

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