ジョコウィ政権きょう発足3年 交通インフラ・格差是正重視 電力整備に課題も

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権が20日で発足3年を迎える。「都市と地方の格差是正」を掲げ取り組んできた交通インフラ整備に成果が見え始めた一方で、目玉政策の電力開発などでは遅れも目立つ。政治面ではジャカルタ特別州知事選を発端に宗教対立が表面化し、国家の多様性維持と統一を強く呼びかける1年となった。

 ダルミン・ナスチオン経済調整相は17日に会見し、「3年間のマクロ経済指標はいずれもポジティブだった」とジョコウィ政権の成果を強調した。
 実質国内総生産(GDP)成長率は2014年の5.01%から15年には4.88%と低下したが、16年は5.02%で回復に転じた。だが個人消費が伸び悩み、経済界などからは消費者の購買意欲低下を指摘する声もある。
 直接投資額は増加傾向にあり、17年は678兆ルピアを目標に掲げる。5月に大手格付け機関のS&Pが格上げを発表し、インドネシアは3大格付け機関から「投資適格」の評価を得たことで、海外からのさらなる資本流入も期待される。
 16年の地域別直接投資では、ジャワ島外への投資が前年比14.2%増で、ジャワ島内の10.8%増を上回った。トマス・レンボン投資調整庁(BKPM)長官は「過去3年間で国内外からの投資によって340万の雇用を創出した」とアピール。うち3分の1以上がジャワ島外の雇用だったと強調した。

■土地収用問題も
 ジョコウィ政権が最も力を入れる政策の一つがインフラ開発だ。19年の大統領選に向けて成果を上げたいジョコウィ氏は16日、「インフラは(3年間で)目標の60%に近づいた。年末にはさらに多くの道路が完成し、来年にはもっと成果が見えてくるだろう」と意欲を見せた。
 高速道路や鉄道、空港、港、発電所などのインフラのうち、政府が優先して取り組む「国家戦略プロジェクト」は245件ある。うちジャワ島が93件(総額1065兆ルピア)で最も多く、スマトラ島が61件(同638兆ルピア)で続く。
 高速道路はことし建設が完了する分も含め、15〜17年で計568キロを開通させる見込み。政府は当初、5年間で1千キロを開通させる目標を掲げていたが、5年間で1852キロに上方修正した。18、19年でさらに計約1300キロを新たに建設する計画で、大統領自らスマトラやパプアなど地方の建設現場へ足を運んで加速を促すが、一部で土地収用が遅れている。
 19年までに発電能力3万5千メガワット(MW)を掲げる電力開発も、土地収用が進まず発電所建設が遅れるなど課題が残る。潜在能力が高い地熱発電など再生可能エネルギーの開発も急ぐ。
 ガソリン・軽油価格の全国一律化も進める。首都圏と比べて燃料が高くなっている遠隔地で順次、均一価格を導入していく計画だが、ネックは膨大な輸送コスト。19年までに148県150カ所で均一価格を導入する目標で、道路などのインフラ整備と合わせて進めていく必要がある。(木村綾)

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