ロヒンギャ難民支援へ イ政府 仏教団体も協力表明

 仏教徒が多数派のミャンマーで、治安部隊とムスリムの少数民族ロヒンギャの武装集団が衝突している問題で、インドネシア政府はロヒンギャ難民を支援するとの声明を発表した。国内の仏教団体は暴力行使を非難、ロヒンギャ難民を支援すると表明し、異教徒尊重の立場をあらためて強調している。

 インドネシア外務省は8月29日、ミャンマーのラカイン州で25日以降発生した警察の詰め所とロヒンギャ難民収容所への襲撃を非難するとの声明を発表した。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は3日夜、中央ジャカルタのイスタナ(大統領宮殿)で会見し、ミャンマー政府に対し、暴力停止や人道支援のアクセスが可能になるよう訴えた。食料や薬の支援を続けるほか、10月にはロヒンギャの居住地に学校や病院を建設すると明らかにした。
 治安部隊によるロヒンギャの武力集団の掃討作戦で、国連によると1日時点で約400人が死亡し、バングラデシュへのロヒンギャ避難者は少なくとも5万人以上に増加している。
 レトノ・マルスディ外相は3日、アウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談するためミャンマーへ向かった。バングラデシュにロヒンギャ難民の受け入れ支援を求め、インドネシアもバングラデシュを支援する方針だ。
 インドネシアは近年、ミャンマーから船で渡ってきたロヒンギャ難民を受け入れてきた。2015年には1万人以上がアチェ州や北スマトラ州メダンの施設に収容されたが、その後マレーシアなどへ渡航する難民が続出。第三国への移住に必要な国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民認定も難航した。

■金徳院で共同会見
 西ジャカルタ・グロドックにある中国寺院の金徳院では3日、イスラム政党の民族覚醒党(PKB)のムハイミン・イスカンダル党首と僧侶らが会見を開き、「背後には経済や天然資源をめぐる争いがあり、宗教紛争ではない」との見解を表明した。金徳院は資金援助を決定した。
 会見に出席した西ジャカルタ区マンガブサールにある中国寺院「アファロキテスファラ」のドゥタフィラ・マハスタフィラ代表は「暴力を振るう教えは仏教にはない」と強調し、仏教徒にロヒンギャ支援を呼びかけた。
 ムハイミン氏は、PKB支持者と母体のイスラム団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)会員に支援金の支払いを義務付けると発表した。
 国内の仏教団体を統括するインドネシア仏教徒委員会(ワルビ)も3日、「宗教紛争ではなく社会的、または人道的な紛争」との声明を発表。インドネシア国内の宗教の調和を乱す可能性もあるとして、宗教関係者らに注意を喚起した。
 2013年8月には、西ジャカルタ・クボンジュルックにある仏教寺院「エカヤナ仏教徒センター」で手製爆弾が爆発し、3人が軽傷を負う事件が発生した。実行犯は「ロヒンギャ虐殺への報復」と自供していた。
 中央ジャカルタ区メンテンのミャンマー大使館前では2日、市民数十人がロヒンギャへの暴力を批判するデモを実施、在ミャンマー大使館閉鎖やアウン・サン・スー・チー氏に授与されたノーベル平和賞の撤回を訴えた。警察によると3日未明、火炎瓶が大使館敷地内に投げ込まれたが、警備員が消し止めた。(毛利春香、アリョ・テジョ)

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