租税回避防止協定に署名 脱税包囲網で連携 68カ国・地域が参加 スリ財務相

 パリの経済協力開発機構(OECD)本部で開かれた閣僚会合に出席したスリ・ムルヤニ財務相は租税回避、利益移転を防ぐことを目的とした、国際的な新たな課税ルールを実施するための多国間協定に署名した。税収不足の要因の一つである、海外金融機関やペーパー企業を利用した脱税や租税回避に対して、各国と足並みをそろえて防止に取り組む。                                       
 署名は現地時間7日付け。68の国と地域が参加、最終的には約100の国と地域が署名する見通しで、5カ国以上が批准すると発効する。
 インドネシアの財閥などグローバルに展開する企業の中には税法や制度の違いを利用し、第3国の金融機関やペーパー企業を利用して利益移転などを行い、徴税を逃れるケースが各国で発生している。
 現行の2国間で租税条約を結び、改正を繰り返すやり方では、脱税に対応しきれず、改正交渉にも時間がかかるという課題があった。
 協定発効後は2国間の条約改正を経ずに、複数の国に同じく適用される統一的なルールで企業に課税することができるようになる。
 協定には、各租税条約の全ての締約国が課税ルールを適用することを選択した場合にのみ、その租税条約が適用される▽ルールは既存の租税条約内の規定に代わる形、もしくは新たな規定として適用される――などの適用や制限についての規約がある。
 政府は租税回避や海外での脱税防止のためにOECDが2014年に策定した共通報告基準(CRS)への準拠を表明、OECD加盟国や主要20カ国・地域(G20)諸国との間で協議を続けていた。
 スリ財務相は7日出した声明の中で、協定を「税源の浸食と利益移転を防ぐ国際的な努力」と評価、国内外の(脱税を目的として隠されている)資産についての情報収集に務める」と改めて表明した。
 また「国際的な協調がないと、(全体の)1〜5%の富裕層や企業が徴税逃れをする傾向は変わらず、十分な予算を組むことは不可能だ。優れた教育やインフラの整備、中小企業や農林水産業の支援も行うことはできない」とし、国家の独立性を維持する上で、協定参加が必要だと強調した。
 協定署名は政府が進める一連の国際社会との連携による、脱税や租税回避に対する包囲網形成策の一つ。政府は5月に大臣令(2017年1号)に署名し、金融口座情報を国内外の税務当局間で自動的に情報交換する制度(AEOI)の構築を進めている。18年の導入を目指す。
 協定には日本も署名、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国からはインドネシアのほかにはシンガポールのみが参加した。(平野慧)

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