政権浮揚へ公開質問会 ユドヨノ大統領 メディアとの親密さアピール

 ユドヨノ大統領は十三日夜、国内外の記者を中央ジャカルタの大統領宮殿に招き、公開質問会を行った。出身母体の民主党が汚職問題に揺れ、政権の支持率が低迷する中、さまざまな問題に正面から答える姿勢を見せることで、イメージ回復につなげようという試みだ。

 質問会は、バティックを着た官邸付きの記者が大統領のすぐ近くを取り囲み、普段の形式張った記者会見とはまったく異なるざっくばらんな雰囲気。
 メディアとの親密さをアピールするような演出がされ、質疑応答の様子は、民放テレビ局で生中継された。大統領のほかブディオノ副大統領や各閣僚が出席し、質問会の前には閣僚も参加した食事会も行われた。
 一時間で十人が質問する予定だったが、大統領が「まだ続けよう」と呼び掛け三十分延長。旧センチュリー銀行への公的資金注入や補助金付き燃料、大統領専用機購入、各地で起こる住民紛争など政権が批判にさらされている問題を含めて計十六の質問に答えた。
 民主党の会計担当幹部だったナザルディン被告の逃亡を党が支援していたとの疑惑がある中、「大統領はナザルディン被告と逃亡直前に会っていたのではないか」という地元メディアの質問には、「事情を聴くために会った」と肯定。
 「アナス・ウルバニングルム党首から、ナザルディン被告が党幹部職を辞任する意向だと聞いていたが、実際は話がまとまらなかった」と述べ、暗にアナス党首を批判した。
 西ジャワ州ボゴール市でイスラム強硬派団体が礼拝を妨害しているヤスミン教会のキリスト教徒の問題に関しては「信教の自由を認めた一九四五年憲法は守らねばならず、地方首長は問題が起こらないよう未然に対策を講じるよう指示している」と強調。
 今年に入って最低賃金をめぐる労働組合のデモで高速道が封鎖されるなどした問題については、「表現の自由は認められているが、法制度に沿ったものでなければならない。警察には厳正に対処するよう指示している」と語った。
 欧州の経済危機の影響で六・七%の経済成長率目標は下方修正せざるを得ないのではないかと問い掛けた日本経済新聞の野沢康二記者に対しては、「投資や国内消費、政府歳出は上昇傾向にあり、輸出量が減ったとしても成長の鈍化を避けることは可能」との見方を示した。
 一夜明けた十四日には、和やかなやり取りに終始した大統領と記者のやり取りは、質問を事前に用意していたからだとの見方も報じられた。専門家は「すべてがうまくいっていると確信させたいようだった」(ガジャマダ大の政治専門家アリ・スジド氏)、「落ち込んでいるイメージの改善を狙ったものだ」(民間調査機関チャルタ・ポリティカのアルヤ・フェルナンデス氏)と冷ややかな見方を示している。

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