一晩寝ずにお手伝い にぎわうスラバヤの鳳徳軒 イムレック

 東ジャワ州スラバヤ市北部のドゥク通りにある中国寺院「鳳徳軒(ホン・チエ・ヒアン)」は、市内で最も古い800年ほど前に建立され、最も大きい2階建て。赤いチャイナドレスやTシャツなど、赤色を身に着けた家族連れの華人が、1年で一番にぎわう大みそかの27日からイムレック新年の28日にかけ、お参りに訪れた。線香やろうそくなどに火をともして次々と祈り、お供え物を供えた。新たな年の始まりを祝う彼らを、見守るムスリムの姿があった。    
 イスカンダルさん(42)は同州マドゥラ島出身のムスリムだ。同寺院の管理者と知り合いで、イムレックの時は毎年、手伝いに来るという。「お参りのために来るのは華人ばかりだけれど、ムスリムがいても特に問題はないし、誰も気にしていない。宗教や民族、出身地などそれぞれ違っていて、いろいろな人が混ざって生活しているのは当たり前のこと」と話した。
 職員は十数人で、華人やジャワ人らが混ざっており、宗教も異なる。全員が27日の夕方から28日の夕方まで寝ずに、参拝客に供える油や線香を手渡したり、燃えた線香を片づけたりと大忙し。火事が起こらないよう気を配っている。
 一方、寺院の間の狭い通路には、参拝に来た華人からの喜捨を待つ住民らが座り込み、親子で一夜を明かしていた。
 28日朝、家族と一緒にお参りに訪れたスリヤワンさん(31)は、スラバヤ市出身の華人。イムレックの時には毎年、家族一緒に同寺院を訪れる。
 ことしも家族と一緒に新年を迎えられたことに感謝し、家族の健康や幸せ、成功をお祈りしたという。スリヤワンさんは「穏やかに新年を迎えられて良かった。もちろんスラバヤ市が警備には力を入れているようだけれど」と話す。
 ジャカルタ特別州でのコーラン侮辱発言をめぐり、宗教冒とくなどの罪に問われた華人のアホック特別州知事(知事選出馬で休職中)に対するデモについて「ニュースでよく見る」と話したが、「スラバヤではジャカルタのような目立ったデモはない。宗教的な批判が大きいが、それ以上に政治的な問題で過熱しているのでは。私たちが新年を迎えることと直接関係ないし、ここはスラバヤで都市も異なる」と語った。(毛利春香、写真も)

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