「大統領は冷徹な親方」 働く内閣、結果重視 白石隆教授 三菱東京UFJ講演会

 三菱東京UFJ銀行ジャカルタ支店は23日、中央ジャカルタのシャングリラホテルで経済講演会を開いた。インドネシア研究の第一人者である政策研究大学院大学の白石隆学長が政権の現状と展望について、同支店の西仲崇行副支店長がルピア健闘の持続力について講演し、約500人が聴講した。

 白石氏はスハルト時代と現在の政治の仕組みを比較し、「力がものすごく集中された状態から、非常に分散された状態になった」と分析した。
 中央集権的で大統領が圧倒的な力を持っていたスハルト時代の反省から、ハビビ大統領就任以降、法改正などの民主化が進められた結果、「弱い大統領と強い議会」になったと特徴付ける。「例えばインフラの個別案件について、議会の委員会の承認がないと動かないくらい、議会が強い」と指摘。そのため、政権運営では「与党連合を作って議会を掌握することが重要になる」。
 民主化とともに地方分権化が進み、地方自治体の力も強まった。「大統領にとっては、自分をサポートしてくれる政党や地方首長が、必ずしも自分たちと同じ利益を共有しているとは限らない」と強調する。
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領の特徴に、支持基盤を所属政党の闘争民主党(PDIP)ではなく、あくまでも市民勢力と捉えていることを挙げた。ソーシャルネットワークを通じた市民との対話を重視、週末は西ジャワ州ボゴールの大統領宮殿(イスタナ)で過ごし、首都で政党幹部や議員らと接触する動きをあまり見せない。
 政党からの脱却を図る大統領に有利に働くのが、与党連合の拡大だ。政権発足時、国会の与党連合は少数派だったが、ゴルカル党などが与党にくら替えして拡大したため、PDIPに頼る必要がなくなり、大統領の行動の自由が拡大すると予測する。
 「働く内閣」と呼ばれ、若い世代が多く、企業の元経営者らも入閣する内閣。閣僚を大工の「職人」、大統領を「親方」と例え、ジョコウィ大統領は「職人にやらせ、できなかったらクビ」「冷徹なところがある」と指摘する。また「親方として、内閣が働いていることを(国民に)見せる」やり方が、市民の声に即対応する組織「すぐやる課」を1969年に日本で初めて作った、当時の松本清・千葉県松戸市長と似ているという。素早い対応と結果を重視する姿勢で国内外での評判を得ているとした。
 ジョコウィ政権を支える人物としては、ルフット・パンジャイタン政治・法務・治安調整相、プラモノ・アヌン内閣官房長官、テテン・マスドゥキ大統領首席補佐官の3人を挙げた。ルフット氏は大統領に代わり国会対策や政党との調整役、テテン氏は市民勢力との接点を持ち、要望を聞く役割を担う。プラモノ氏は「閣内の政策調整の要」でPDIPのメガワティ党首と大統領の連絡役を果たしていると指摘した。
 現政権の軸は成長と分配、ナショナリズム、汚職のないきれいな政治。ジョコウィ大統領の政権運営について「2019年の大統領選挙で再選されるのが一番大事なこと。19年を念頭に何をするか、何ができるかを一番大事にしている」と強調した。

■ルピア健闘
 西仲氏はことしに入りルピアが好調な要因について、3カ月連続での計0.75%の利下げや他の新興国通貨との比較優位、外貨債務のヘッジ規制や国内ルピア使用の義務化の効果を挙げた。
 今後は、ルピア好調の材料が少し弱まり、ルピア安の材料の力が強まるためルピア相場は年末に1万4千ルピアを少し超えるほどになると予測した。
 引き続き金利を低く抑える政策のもと、年内の金利は低く収まる一方、将来の為替のリスクに転換される可能性があるとの見方を示した。(木村綾、写真も)

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