下宿で日本語・慣習修得 3カ月後に送り出し ABACがセンター開校
南ジャカルタ区のクマンとブロックMに教室を持つ語学学校「アバック(ABAC)」は4日、同区パサールミングにインドネシア技能実習生送り出しセンター「アバック・プラティハン・プログラム(APP)」を開校した。日本語の学習や生活習慣を修得するカリキュラムを通じて、日本で技能実習生として生き生きと働けるための人材育成を図る。第1期生として4人が入校、3カ月間の下宿学習に臨む。日本へ送り出した後も、一人一人を支援していく。
APPはインドネシア労働省労働移民局から、技能実習生送り出し機関としての認可を受けた。南ジャカルタ区から研修のための教育施設としての許可も得ている。これにより、公式な機関として技能実習生送り出しの事業を担う。
インドネシアの実習生送り出し機関には、利益優先や認可を取得していない団体も少なくなく、事前学習が不十分なまま技能実習生を渡日させる場合もある。受け入れ先の多くは民間企業で、やりがいを持って働いている技能実習生がいる一方、残業代が出ないなど劣悪な環境で労働しているケースも。逃げ出した技能実習生は、ビザも帰るための資金もなく、送り出し機関に助けを求めても音信不通で不法滞在になる例があるという。
■一人一人を支援
APPアドバイザーの水谷明澄さんは「送ってしまえば終わり、にはしたくない。一人一人に目を行き届かせ、良い将来を目指せるよう支援したい」。
APPのカリキュラムは3カ月間の下宿学習が柱。受け入れ先日本企業による面接で合格すれば、3年間技能実習生として働ける。日本の協同組合と提携し研修先を紹介。現在は工場作業の案件が多い。
日本では、三重県の日本事務所スタッフが毎月、就労状況について相談にのる。帰国後も就職先支援が手厚く、アバックで講師として働く選択肢もある。
■報・連・相も修得
APPは4階建てルコ(住居付き店舗)の一角にあり、一度に最大25人が入校・下宿可能。規則正しく時間を守る日本の働き方を身につけてもらうため、生徒は午前6時〜午後10時まで時間割通りに下宿生活を送る。自分で炊事や洗濯をし、講師への報告・連絡・相談の習慣も身につける。早朝ランニングや筋力トレーニングも取り入れ、健康作りに励む。日曜と祝日にはカリキュラムはないが、外出は午前8時から午後7時まで。
講師6人のうち、5人は3年間実習生として日本で働いた経験を持つ先輩。アバックの語学講師経験者も指導するので、実践的な日本語の読み書きと会話を修得できるという。
水谷さんは「日本でやさしく受け入れてもらえれば幸い。厳しく指導した分、良かったなと思ってもらえれば」と語る。
日本の公益財団法人・国際研修協力機構(JITCO)によると、昨年1月から11月までの技能実習生受入人数は4万5578人。うちインドネシアからは2178人(約4.8%)。1位は中国の2万14人(約44%)だった。(中島昭浩、写真も)