信頼されるパートナー 「日イは同じ船に乗っている」 竹部JJC理事長 退任

 ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)は24日、3月の定例理事会を終え1年間の活動を総括した。今年度のJJCを支えてきた竹部幸夫理事長(三井物産)は任期を終え退任し、次の赴任地となるオーストラリアに向かう。日イ関係の構築に尽力した竹部さんに1年間を振り返ってもらった。 

 竹部さんは昨年10月、外国人の就労規制に関する事項を念頭に、ハニフ・ダキリ労働相と意見交換会を開いた。「ハニフ労働相はとても見識が深い。話の根幹をすぐに理解された」と印象を語る。会談の際、ハニフ労働相に「他国とは違い、日本の企業はインドネシアの問題点を共有し、ともに国の発展を考えてくれている」と言われたことが印象に残っているという。
 会談の1週間後、ハニフ労働相は、竹部理事長が訴えた日系企業のビジネスに障害となる事項を撤回する大臣令を発令した。
 ほかにも塩の輸入に対する規制問題が浮上した際には工業相、商業相などと直接会談を重ね、両国の発展のため議論してきた。「1年間、インドネシアにとって信頼されるパートナーを目指してきた。一方的な要望は通じない、日本とインドネシアは同じ船に乗っているんだということを伝えたかった」
 ことし新たに始めた取り組みとして、経済産業省の補助金を活用したコンサルティング会社の起用を挙げる。専門家を活用することで政策立案者に響く提案力に磨きをかけた。日系企業のインドネシアへの経済貢献度の調査も始めた。
 近年日系企業の進出が増えインドネシアでのプレゼンスが高まっている反面、インドネシアの人たちにJJCの活動が十分行き届いていないのではないかという懸念がある。「日系企業の正しい姿を理解してもらう情報発信を、来年度のJJCでも続けていただきたい」
 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)政権は2年目を迎えた。所属する商社グループが定期的に開いている意見交換会は活発になってきており、「国内の経済活動が変わってきているように感じる」と評価する。
 三井物産で資源畑を歩いてきた竹部さん。インドネシアのエネルギー需給構造が変化しつつあることに目を向け、「ガスの発電所の拡張や再生可能エネルギー、水素などのエネルギーを調達から販売の枠組みで考え力を入れていく」。発電事業では、IPP(独立系発電事業者)の案件でコスト競争力のある中国勢の勢いが止まらないことも関心事項の一つ。日本の技術力をいかにインドネシア政府へ伝えられるかが重要とした。
 心残りは駐在が1年間という短い期間だったこと。商社マンとして海外勤務が長いなか「現地の社員の士気をいかに高められるかが重要」と話し、「直接社員に話しかけ、仕事への意欲を高めていくことが代表者の役割」と熱を込める。英国や米国といった先進国での勤務経験が長い竹部さんにとって、インドネシアはとても熱気を感じる国。「自発的に動く現地社員ともう少しここで働きたかった」と振り返る。
 次の赴任地は日本ではなく常務執行役員として、オーストラリアとニュージーランドの代表という立場を担う。インドネシア政府はこのほどオーストラリアと経済連携協定の交渉を再開した。「インドネシアとオーストラリアの経済関係の橋渡しになるような仕事ができれば」と次の舞台での抱負を語った。 (佐藤拓也、写真も)

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