【じゃらんじゃらん】奇跡の海へ ダイバーたちの夢の場所 西パプア州ラジャ・アンパット

 日本からダイビングに行くとなると、インドネシアは遠く、その手前にそれほどお金をかけなくてもいけるフィリピンやパラオという素晴らしいダイブ・スポットがあるので、これまでは足を踏み入れたことがなかった。だが、インドネシアに住むとなったら話は違う。北スラウェシ州マナド沖合のブナケン島でインドネシアの海のすごさを知った私は、「最後のパラダイス」と呼ばれるラジャ・アンパットへと向かった。

 とはいうものの、ラジャ・アンパットは島々であり、全部を見ようとすれば2週間あっても足りない。また、欧米人が経営する高級ダイブ・ロッジに泊まっては、金がいくらあっても足りない。薦められたのが、地元の人たちが経営するホームステイだった。
 ジャカルタからソロンまで直行便で4時間。ソロンからはフェリーでワイサイまで2時間。フェリーは片道13万ルピアだ。そしてワイサイまで到着すれば、ホームステイの人がボートで迎えに来てくれる。ワイサイからの距離でボート料金は決まる。
 ということで、比較的ワイサイから近く、すぐ近くにダイブ・ショップがあるところ、という基準で選んだところがバトゥ・リマだった。同じ浜辺に別の二つのホームステイがあった。
 水温30度の南の海では3ミリのウェットスーツで十分。ラジャ・アンパット初のダイブ・ポイントはマンスアール島のイェンブバ。スペイン人インストラクターのレイナルド・アンダルースさん(41)は「サンゴと魚が凝縮された、とてもラジャ・アンパットらしいポイント」と説明した。

■豊かさを実感
 潜ってみると「えっ?」。というのは、透明度が思っていたほど良くなかったからだ。海のクリアさではパラオの方が明らかに勝る。だが、サンゴ礁の上をゆったりと浮遊しているうち、とにかく魚の多いことに圧倒された。あちこちで魚の群れが丸くなり、伸び、横切り、上を行き、下を行く。しかも種類がそれぞれ違う。ときに巨大なナポレオンフィッシュがゆったりと水平に進む。
 海底のサンゴ礁はどこも欠けることなく、びっしりと詰まっている。まさに「豊かな海」であることが実感できる。おとぎ話の「浦島太郎」に登場する竜宮城は、決して架空の世界ではなく、実際にあったのだ、とサンゴの海に潜るたびに思う。
 2番目のスポット、マンタ・サンディーはマンタを見るのが目的だ。マンタは小魚に体を掃除してもらうため、海中のクリーニング・ステーションと呼ばれる場所に集まる。ダイバーたちはそのステーションを見上げるようにして、じっとマンタが来るのを待つ。
 しかし、待てども待てどもマンタは来ない。ついにあきらめて移動した。アンダルースさんは「マンタを見ることができなかったのはことし初めて」と驚く。相手は生き物。ラジャ・アンパットでもそういうことがあるのだ。

■乙姫さまがいなくても
 一緒に潜ったのは全て欧米人。各地の海でダイビングを経験している。多少透明度が悪くても、いるはずのマンタがいなくても、世界のサンゴの75%があるこの海に十分に満足している。ドイツ人でオーストラリアの大学で海洋生物学を学ぶパトリック・バーガーさん(32)は「サンゴの状態がここほど良いところは見たことがない」と話す。
 最後のダイビングのとき、ウミガメに遭遇した。浦島太郎はカメに導かれて竜宮城を訪れた。乙姫さまがいなくても、ラジャ・アンパットの海なら至福の時間を過ごすことができる。(田嶌徳弘、写真も)

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