【デジタル羅針盤】 ネットでの愛国心

 インドネシアが華やかに独立記念日を迎える8月中旬は日本にとっては終戦記念日であり、アジアで暮らす日本人として、それぞれ思うところもあるだろう。
 誰もが悲惨な戦争を繰り返したくないと思う反面、今年は特に尖閣諸島、竹島の問題などで隣国との感情的な対立が先鋭化しつつある。ネット上でもさまざまな議論が起こっているが、ある意味でその中心にいるのが「ネット右翼」と呼ばれる人たちだ。
 定義は難しいが、ネットで愛国的言動を繰り返し、時に人種差別的な暴論を振りかざす人と考えれば大きな間違いはないだろう。今回の領土問題でも中国や韓国に対する非難の大合唱が起きている。
 なぜ、こうした「ネット右翼」が生まれたのか。多くの識者が指摘し、筆者も実感として納得できる理由としては、これまで日本のマスメディアはリベラルな立場が強く、封じ込められていた保守的立場の言論がネットという場所を得たことで表出したことと、特に若年層で血縁や地縁などの中間共同体が失われ、帰属意識を国家にしか持つことができなくなり、その結果、ナショナリズムに同調しやすくなっているという2点だ。
 ネット右翼はコミュニケーション能力がないだとか社会的な「負け組」だなどというレッテル貼りに与するつもりはないが、彼らと彼らに反対する立場の人が噛み合わず、互いに批判するだけのケースが多いのは残念なところだ。
 これは何も日本だけの現象ではなく、中国や韓国にも同種の人たちがいる。ドイツなど欧米でも同様だそうだ。
 一方、インドネシアも日本同様、隣国とのトラブルとは無縁ではないし、宗教に関係して反欧米意識を持つ人も少なくはない。だが、実際に反マレーシア、反豪州の感情が噴出するような事件があった際に、両国に批判的な書き込みがされることはあっても、日常的に強硬な意見が書かれ続けるということはないようだ。
 こうした違いがどこから来るのか。国民性や社会情勢といった要因だけでなく、ネット上のコミュニティーの発達度合いや人気コミュニティーにおけるインターフェイスの設計などの要素もあるだろう。
 こうした研究からより建設的な議論に向いたプラットフォームが出来ればいいのだが。(元じゃかるた新聞記者、福田健太郎) 

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