低所得者対策、見切り発車 補助金燃料値上げ視野に

 ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は3日、公約の低所得者対策の開始を発表した。燃料補助金の圧縮分を財源に回す見通しだが、政権の足並みはそろっていない。燃料値上げと両にらみで臨機応変の意思決定をするとみられる。

 ジョコウィ氏は夫人やプアン人間文化開発調整相とともに中央ジャカルタの中央郵便局で、各種カード配布開始を明らかにした。財務省の3日時点の発表では、医療保険の「インドネシア保健カード(KIS)」は8810万人が対象。低所得者向け奨学金の「インドネシア教育カード(KIP)」は子ども2400万人が対象になる。他2つを加えた計4カードを各地の郵便局で段階的に配布していく考え。
 政府は対象者をカードで管理し、対象者はカードを介して社会保障給付を受ける仕組みをとる。
 カードは近く予定される燃料値上げの「補償」と位置付けられている。値上げが招く急激な物価上昇が低所得者に大きく影響し、社会不安を生みかねないため、低所得者対策が必要とされる。今年8月国営石油ガス・プルタミナが給油所への石油製品の供給を一部制限したときは、全国で買いだめ騒動が起きた。
 しかし、このカードとユドヨノ政権の政策との整合性をどうするかはまだ不透明だ。当初、ジョコウィ氏がジャカルタ特別州で社会保障制度を導入し注目を集めたが、ユドヨノ政権が今年初めに全国規模で追いかけ、ジョコウィ制度を飲み込んだ。だが、大統領になったジョコウィ氏が再びユドヨノ時代の制度を改変するという展開だ。
 また、今年、来年の国家予算はカードとは別に現金給付の財源も確保しており、財務省は3日電子マネーでの給付を検討していると発表。米国のフードスタンプ(食料扶助)に似た形になるという制度で、対策が並び立っている。

▼カラ氏「値上げ月内」
 カードの配布開始は燃料値上げが近いとの観測を呼んでいる。カラ副大統領は3日記者会見し「今月中に値上げをする」と話し、値上げが段階的なものか、一気に上げるかは明らかにしなかった。ソフヤン経営者協会(アピンド)会長も同日、レギュラーガソリンのリッターあたり2千〜3千ルピア値上げを求めた。インフレ率は昨年6月の値上げの影響が最も顕著に出た7月から、現在は穏やかになった。
 これに対し、ジョコウィ氏は同日夕の会見で値上げ時期はまだ決まっていないと否定している。
 ユドヨノ政権では貧困率は続落し、11%台まで落ちたとされている。だが中央統計局の貧困線には疑問符がつく。ジャカルタ特別州の場合、中央統計局は貧困線を月44万7797ルピア(約4200円)とし、貧困率3.92%にとどまるとしている。だが、州政府が最低賃金の基準として策定する最低生活費は230万ルピア(約2万2千円)と5倍。「貧困層は世銀換算で1億人いる」(プラボウォ氏)との指摘もあるほどだ。非正規が雇用の過半を占め、雇用の質が低いなど新興国の特徴的な問題を抱える。
 貧困層の拡大は大きな政治・社会リスクになりうる。不満を持った低所得者が増えれば、政府の統治が難しくなるという悪循環を生むためだ。(吉田拓史)

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