大手12社、初のマンガ・フェス 「日本漫画の魅力知って」

 日本のコミック(漫画単行本)の大手版元12社が一同に来イして漫画の魅力を伝えるイベント「マンガ・フェスティバル・イン・インドネシア」が31日始まり、西ジャワ州デポックのインドネシア大学(UI)での講演会では学生ら約200人を前に漫画家らがコミックの魅力を語った。漫画やアニメが大人気のインドネシアで、制作者とファンが触れ合う初のイベントとなった。

■UIで講演会
 講演会は31日午後1時半に始まった。最初に主催者を代表して実行委員長の講談社の清水保雄常務が「発展著しいインドネシアに来ることができた。この機会に日本のコミックの魅力を知ってもらい、ファンや企業の方から要望を聞きたい」とあいさつした。
 講演は4部構成。まず、アジア各国でコンテンツ・クリエーターの育成を行う「カドカワ・コンテンツ・アカデミー」の古賀鉄也社長が2015年9月、ジャカルタで開校予定の漫画スクールについて話した。続いて20周年を迎えた「美少女戦士セーラームーン」のプロジェクトについて講談社の小佐野文雄部長、土屋潤一郎副部長、東映アニメーションの神木優さんが説明した。
 来場者からは「漫画学校には何歳まで入学できるのか」「セーラームーンは女性なのに編集の人は何で男性なのか」などの質問がとんだ。
 続いて「最上の命医」の漫画家、橋口たかしさんと小学館の担当編集者、冠茂さんが「マンガ家とマンガ編集者」を講演、最後に集英社「週刊少年ジャンプ」の瓶子吉久編集長と「月刊りぼん」の冨重実也編集長が制作の現場を語った。
 来場者はUIを中心に男女の学生が多かった。バンドン市から来たテレコム大の学生、ムティアラさん(20)は日本のアニメファンで公式ウェブサイトを見て参加、「日本の漫画の状況を知りたかった。実際に作っている人の話が聞けて参考になった」と話した。
 同日夜には、南ジャカルタの日本大使公邸でインドネシアの出版関係者も招いてレセプションが開かれた。イ側の来賓を代表し政府のクリエイティブ産業の担当者が「政府として日本のコンテンツ産業をバックアップしていきたい」と話し、また谷崎泰明駐イ大使も「漫画という素晴らしい日本文化をインドネシアの方とも分かち合っていきたい」と期待を込めた。

■漫画家のサイン会も
 マンガ・フェスティバルは1日午後1時から中央ジャカルタ・スナヤンの紀伊國屋書店で漫画家4人によるサイン会を開く。また同日からイストラ・スナヤンで始まる「インドネシア・ブックフェア」(9日まで)会場にブースを出展し、コミックや複製原画の展示などを行う。(阿部敬一、写真も)

イ独自のコンテンツ作りに協力 KADOKAWAの角川歴彦(つぐひこ)会長

 「日本はコンテンツ技術を提供しインドネシアの方に学んでもらい、独自のサブカルチャーを創出してもらいたい」。
 マンガ・フェスに合わせて来イしたKADOKAWAの角川歴彦取締役会長は、今後インドネシアで本格的なコンテンツ・ビジネスを展開すると話した。日本の大手メディアがイで事業展開する初のケースとして注目される。 
 角川会長は2015年9月予定でジャカルタに漫画やアニメなどのコンテンツ・クリエーターを育成する学校を開校すると述べた。設立に際し、イの財閥シナルマスグループでアジア最大の製紙メーカーであるアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)とパートナーシップを結ぶ。「どの国でもコンテンツ産業は人材育成が必要。優秀な人材の発掘が時間はかかってもやっていく。そのためには学校が必要」と話した。開校と合わせて「カドカワ インドネシア」(仮称)も設立、10月に経営統合した動画投稿サイト運営の「ドワンゴ」などグループ全体でコンテンツ・ビジネスに取り組む考えだ。
 また海賊版問題については「日本の文化が受け入れられる土壌があるから海賊版が存在する。摘発するのでなく一緒に文化を育てていこうと呼びかけたい」とした。インドネシアの市場については「日本企業が投資したい一番の国となった。進出は遅すぎたが、これからソフトコンテンツをどう育てるか、とても楽しみだ」と期待を込めた。

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