国会勢力均衡で和解 ジョコウィ氏とプラボウォ氏 あさっての就任式目前
ジョコウィ次期大統領とプラボウォ・グリンドラ党党首は17日会談し、プラボウォ氏は20日に控えたジョコウィ氏の大統領就任を祝った。就任式に両陣営の対立が持ち込まれることはない見通しだ。開発統一党(PPP)が新政権入りを決めたため、プラボウォ派は国会過半数による議会の支配を失っていた。
ジョコウィ氏が午前10時に南ジャカルタ・クバヨランバルのプラボウォ氏私邸を訪れ、40分ほど話し合った。プラボウォ氏は記者会見で「私の支持者に政治的な違い、主義主張、政治的な争いを持ち出さないようお願いした」と話した。ジョコウィ氏も「憲法、国家5原則パンチャシラを尊重することで一致した」と応じた。大統領選投票を控えた7月5日のテレビ討論会以来の顔合わせ。選挙戦での誹謗(ひぼう)中傷を交えた両者は握手、ほおを合わせて和解ムードを見せた。
ただ、プラボウォ氏は就任式出席について「17日夜か、明日の朝に海外に出て、その用事が済めば出席するだろう」と言葉をにごした。
プラボウォ派は態度を軟化させた格好だ。一時は大統領就任式ボイコット論や新大統領弾劾論が派内で浮上。弟ハシム・グリンドラ党副党首は「新政権の100の役職で拒否権を発動する」と息巻くほどだった。
だが、バクリー・ゴルカル党党首が14日、ジョコウィ氏と2者会談。ハッタ国民信託党(PAN)党首がジョコウィ派が賛成する、地方首長選の直接投票を復活させる特別政令について「検討するに値する」と話した。方向転換の兆しが見られた。
そこでPPPが17日、プラボウォ派を出てジョコウィ派合流を決めたことが決定打になった。PPPは議会議長ポスト割譲で割りを食い、プラボウォ氏周辺はPPPがポストを取った後のくら替えを警戒、互いに疑心暗鬼になった。
国会議席はプラボウォ派4党45%、ジョコウィ派5党44%、中立の民主党11%と均衡している。改正地方首長選法の採決のような「数の力」が効かなくなり新政権への圧力は弱まった。しかも新政権には民主党、ゴルカル党、PANも加入の余地があり、就任式まで水面下の交渉が続くとみられる。
ジョコウィ氏は17日、汚職撲滅委員会(KPK)と金融取引報告分析センター(PPATK)に閣僚候補43人の資産状況の調査を要請した。15日に全34閣僚中33人まで決まったとしたが、最後まで駆け引きが続いている模様だ。
ジョコウィ氏は17日の会談後に出席したセミナーでは「連合に入りたい党も、入らない党もどうぞ好きなように。政党に閣僚ポストを差し出す申し出をしたことはない」と話した。(吉田拓史)