【広瀬先生の子育て相談(164)】 自力で持ち直すこと、自信に

◇おたずねします
 中1男子です。ある日、とっても浮かない顔をして学校から帰宅し、夕食もほとんど食べずに寝てしまいました。「どうしたの?」と聞いても何も言いません。翌朝はいつものように登校しましたが、1週間経っても浮かない顔のままです。

◇小児神経専門医 広瀬宏之氏
 お察しの通り、学校で何かとっても嫌なことがあったのだろうと思います。友達や教師との関係、勉強のつまずきなどなど。
 この年齢の男子は、がさつそうに見えて、繊細で傷つきやすい一面を持っています。嫌な体験を周りに相談することも苦手です。うまくいかなかった、傷ついたということを自覚しているが故に、それを言うことで、さらに傷付く心配があるからです。大切な親であれば、いっそう嫌な体験は言いにくいものです。思春期の男子ならではの、母親との微妙な距離感ということもあるでしょう。
 男性は、職場で上司に叱責されたことなど、家庭で話さないものです。男の沽券(こけん)に関わるので話せないのです。男とはそういう生き物だから仕方がありません。
 嫌なことが単発の出来事であれば、時が解決します。少しずつ自分の中で気持ちが整理され、多くは、1カ月くらい経てば、浮かび上がってきます。
 でも、嫌なことが続いている場合は、大人の介入が必要な場合もあります。
 じっと耐えている息子さんに、根掘り葉掘り問いただすことはお薦めしません。家も落ち着かない場所となって、傷の治りを妨げることになりかねないからです。自ら話す場合は別として、嫌な体験を思い返して話させることは、トラウマの再体験のようになる懸念もあります。
 もうこれは、はらはらしながらじっと待つ、担任の先生にそっと聞いてみる、お子さんの大好物を作ってあげる、「困った時は味方になるよ」とつぶやいてみるくらいが関の山です。
 ほとんどの人は、周りが邪魔をしなければ自力で少しずつ持ち直してきます。自力で持ち直したということが、何よりの自信につながっていくものです。

◇質問募集
 ゼロ歳から15歳ごろまでの育児の悩みについてお答えします。お子さんの年齢、性別、質問要旨をジャカルタ・カウンセリングの春日原さんのメール(jakarta_counseling@yahoo.co.jp)までご連絡ください。プライバシーを守ります。

ライフ・文化 の最新記事

関連記事

本日の紙面

JJC

人気連載

天皇皇后両陛下インドネシアご訪問NEW

ぶらり  インドネシアNEW

有料版PDFNEW

「探訪」

トップ インタビュー

モナスにそよぐ風

今日は心の日曜日

インドネシア人記者の目

HALO-HALOフィリピン

別刷り特集

忘れ得ぬ人々

スナン・スナン

お知らせ

JJC理事会

修郎先生の事件簿

これで納得税務相談

不思議インドネシア

おすすめ観光情報

為替経済Weekly