「世界が頼る存在に」 外交・経済の成果強調 汚職は「KPK支持」 ユドヨノ大統領が国家演説

 ユドヨノ大統領は16日午前、中央ジャカルタの国会本会議場で国会議員、地方代表議会(DPD)議員を前に、所信表明演説に当たる「国家演説」を行った。予算演説とともに国家演説を17日の独立記念日を前に行うのは毎年恒例。演説では「世界の諸問題に対し、『インドネシアはどのように考えているのか』と頻繁に問われるようになっている」と述べ、国際社会の中でインドネシアが占める比重が高まっていることを示すなど、前半部の大半を割いて外交と経済の成果を強調した。一方、内政では支持率低迷の最大の要因になっている汚職問題について、警察や検察など「旧来勢力」と大型汚職事件を取り締まる汚職撲滅委員会(KPK)の対立が表面化する中、「KPKの取り組みは非常に重要」と述べ、KPKの汚職撲滅への取り組みを後押しする姿勢を示した。
 大統領は前半、世界大戦のような大規模な戦争はこの半世紀以上、起きていないものの、現在は世界的な経済不安や中東の政情不安などの事態が発生しており、アジア太平洋地域でも領土紛争の火種がくすぶっていると指摘。
 その中で、南シナ海の領土問題をめぐって対立が表面化した東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の仲介に乗り出したことのほか、ミャンマーのロヒンギャ族迫害問題やパレスチナ問題、シリアの内戦などを例に挙げ、「インドネシアが世界や地域の諸問題に黙り込むことはない」として、積極的な発信を続けていると説明した。
 「(アジア通貨危機が起こった)14年前、国際通貨基金(IMF)は融資と引き替えに厳しい財政政策を迫るためにインドネシアへ乗り込んできたが、われわれの経済が成長を続けている現在は、IMFがわれわれに危機への対処の方法について相談するために訪れるようになった」と振り返り、「新興国の一つとして現れ、世界16位の経済規模となった。われわれはいずれ、アジアや世界の中でも強固で先進的な国家になれるという自信を持つべきだ」と訴えた。
 出身母体の民主党幹部に疑惑が相次いでいる汚職問題については、具体的な事例への言及は避けたが、「汚職は開発の支柱を破壊する尋常ではない犯罪」と断言。
 「政府や国会、地方議会、果ては司法関係者に至るまで、多くの汚職犯罪者が現実には存在することは認めなければならない」と述べた上で、警察や検察、KPKなど捜査機関が連携して汚職対策に取り組まなければいけないとの方針を示した。
 大統領は、六つの重点分野として、汚職問題のほか、官僚機構改革とグッド・ガバナンス、住民間の衝突、投資環境と法令遵守、インフラ開発、世界経済危機下の財政政策を列挙。国会が紛糾し政権の求心力弱体化を露呈した燃料値上げ問題については、「燃料への補助金を増大し続けることはできない」と述べ、燃料の節約のほか、場合によっては値上げが必要になるとの考えを改めて示した。
 近年、拡大が続いている国防費について、「われわれは広大な領土を有する国家。経済が好調を続ける中で、防衛分野の拡充は優先項目の一つとなっている」と正当性を強調した。
 独立記念日とムスリムにとって聖なる月であるラマダン(断食月)が重なるのは今年で3年連続。演説冒頭で大統領は「断食月に独立記念日を迎えることを感謝する」と述べた。

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