【スラマットジャラン】 「世界に通用するパティシエに」 ジャカルタで向上心養う 手塚茉美さん
日本食スーパー「かもめ」のベーカリー・ラモエットの日本人パティシエとして二年半、ジャカルタで素材を生かした「日本のケーキ」を作り続けてきた手塚茉美さん(二二)が八日、日本に帰国した。
専門学校新卒のパティシエは、日本では見習い、パティシエ補助として扱われる。そんな中、手塚さんは、外国で商品企画・プロモーションなど幅広い仕事を任されることに魅力を感じ、ジャカルタで日本人パティシエとしてのキャリアをスタートした。
初めての海外長期滞在。「日本人独特の集団行動が嫌で、外国に出たいという気持ちが強かった。絶好のチャンスだと思った」と、二〇〇九年四月、十九歳にしてジャカルタに飛び込んだ。
■材料不足に困惑
手塚さんは、インドネシアは果物が豊富であることに目を付け、果物のケーキが充実した店舗を目指した。しかし着任後、ケーキづくりに必要な質の良い砂糖、バターが手に入らないという課題に直面。手に入る果物は、臭みの強いマンゴー、マンゴスチン、パイナップルなど、素材を生かす日本式のケーキに合わないものばかりだったという。
苦心しながらも、インドネシアの素材に日本や豪州から輸入した食材を加え、十種類のフルーツをふんだんに使った「フルーツタルト」など数々のケーキを生み出した。「利益や売り上げを意識して商品開発をやらせてもらえたのは、貴重な体験」と振り返る。
■独立心が芽生える
手塚さんは「日本では出会えないような人々に出会えたことがジャカルタ生活一番の宝物」と笑顔で語る。県人会や誕生日ケーキの注文を通じて親交を深めた大手企業の役員や、国際協力機構(JICA)専門家の人たちの生き方、考え方に触れ、「ブランド力のある有名店で働ければいい」という考えから、「経験を積み、実力を付け、国際ホテルに通用する独立した人材になりたい」と思うようになった。
手塚さんは「今後、一流のパティシエたちとともにチームを組み、国際コンクールなどにも出場したい。ガーナやミャンマーなどで製菓技術を教える海外青年協力隊の事業にも挑戦したい」と、意気込んだ。