海洋安保で米中応酬 成長地域の主導権争う  東アジアサミット 米露加わり主要国一堂に

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は十九日、ASEAN関連の一連の首脳会議が行われていたバリ島ヌサドゥアのバリ・インターナショナル・コンベンション・センター(BICC)で、ASEAN加盟十カ国に日中韓や印豪ニュージーランド、初参加の米露の十八カ国の首脳らが参加した東アジアサミット(EAS)を開催、関連首脳会議の日程を終えた。一連の会議では、経済成長の取り込みを念頭に「アジア最優先」の戦略を鮮明に打ち出した米国と、急速に拡大する経済・軍事力を背景に地域での権益拡大を進めている中国が主導権争いを展開。TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加を表明した日本は自由貿易圏構想の議論を活発化させ、ASEANと八年ぶりの共同宣言を採択するなど、ASEANの伝統的な友好国として一定の存在感を示した。今年一年のASEAN議長国を務め、主要国が一堂に会する会議を仕切ったインドネシアのユドヨノ大統領は安全保障面での連携強化などを取り上げ、国際社会におけるASEANの重要性を高めたと成果を強調した。

 昨年までASEANプラス6(日中韓豪印ニュージー)で構成されていた東アジアサミットは、経済や防災分野などでの連携に力点を置いてきたが、今年、地域に強い影響力を持つ米露両国を迎え入れ、中国とASEANの一部加盟国との間で過熱する南シナ海の領有権問題を中心に、政治・安全保障に関する議論に焦点が移動した。
 米国のオバマ大統領が米大統領として初めて出席したほか、日本の野田佳彦首相、中国の温家宝首相、韓国の李明博大統領、インドのシン首相らが出席。国内で選挙を控えるロシアのメドベージェフ大統領は欠席し、ラブロフ外相が代理出席した。
 南シナ海問題で中国の動きをけん制するオバマ大統領と温首相はEAS前に緊急の首脳会談を開催。外電によると、EASではオバマ大統領が国際法の順守を求め、武力で威かくする中国を批判したのに対し、温首相が「EASは南シナ海問題を話し合うのに適切な場ではない」と米国の問題への介入に反発するなど、両首脳の激しい応酬が繰り広げられた。

■2つの首脳宣言採択
 サミットでは「互恵関係に向けた原則」と「ASEAN連結性(コネクティビティ)」に関する二つの首脳宣言を採択した。
 互恵関係に関する宣言では、EASを「東アジアにおける平和、安定および経済的繁栄を促進することを目的とした対話を行うための首脳主導のフォーラム」と定義。
 南シナ海問題を念頭に、「海洋に関する国際法が、地域の平和と安定の維持のために必須の規範」「国連憲章に整合的な形での、武力による威かくおよび他国への武力行使の放棄」と明記し、軍備の増強を背景にした中国の海洋進出をけん制する内容となった。
 経済連携の枠組みに関しては、中国が主導するASEANプラス3(日中韓)の東アジア自由貿易圏構想(EAFTA)と日本が推進するプラス3に印豪ニュージーランドを加えた東アジア包括的経済連携構想(CEPEA)に言及し、広域地域経済連携へ向けた取り組みを進める方針で一致。
 連結性に関する宣言では、域内の貿易、投資、インフラ、観光、人的交流、文化交流の連結性強化は、すべてのEAS参加国の利益になると明言した。
 来年のASEAN議長国はカンボジアが務める。


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