林野1万ヘクタール焼失 リアウ州 被害、昨年上回る恐れも

 リアウ州を中心とするスマトラ島の林野火災に収束の兆しが見えない。焼失面積は州内だけで1万ヘクタール(10キロ×10キロ)に達した。季節は乾期に向かい、被害はさらに広がる可能性が高い。近隣国に流れる煙が1997年以来最悪になった昨年を上回る可能性もあるとして、中央政府は消火とパトロールに力を入れている。
 被害が深刻化したのは、大気が例年になく乾燥しているのが原因。気象気候地球地物理庁(BMKG)によると、州内ではこの2カ月、まとまった雨はほとんど降っていない。通常なら、本格的な乾期にあたる6〜8月ごろが林野火災のシーズンで、2〜3月に火災や煙霧が問題になるのは異例だ。

■健康被害3200万人
 リアウ州のアナス・マアムン知事は5日、州内の焼失面積が約1万1138ヘクタールで、3千200万人以上の人が呼吸器官など健康被害が出ていることを明らかにした。火災と煙により90世帯、約310人が自宅を離れているという。火災のほとんどが農業に使う火が泥炭層や林野に燃え移ったとみられる
 ハサン林業相は同日、マラッカ海峡対岸のシンガポールやマレーシアで深刻な被害を出し、ユドヨノ大統領が両国に謝罪した昨年の煙霧に触れ、「2年連続の謝罪は恥をかく」と強調。延焼防止に全力を上げるよう、各部局に指示した。今月中旬にも風が強まり、火災と煙霧が悪化する可能性があり、消火用ヘリコプターを積極的に投入し、火災を監視する人員も配置する方針だ。

■イと星つばぜり合い
 今のところ北東からの風のため、対岸国に直接的な被害は出ていないが、両岸国政府高官のつばぜり合いも始まっている。アグン・ラクソノ公共福祉調整相が27日、スマトラ島内で昨年以来、41件の違法野焼きを捜査し「容疑者にはマレーシアとシンガポール人も含まれている」と説明した。
 他国にも責任があることを示唆するものだが、シンガポール側はインドネシア政府が明確な証拠を示していないことに反発。2日付のシンガポール紙ストレーツタイムズは「もし国民や企業が関与しているという確固たる証拠があるなら、政府として間違いを犯した個人や法人に対してさらなる措置を講じる用意がある」とする同国外務省スポークスマンの発言を紹介した。

■各国で記録的小雨
 シンガポールやマレーシアもスマトラ同様の乾燥に見舞われており、市民の関心が高い。シンガポールで2月に雨が降ったのは7日間だけで、2月の降水量としては1869年以来、最小を記録した。一カ月間の降水量が0・2ミリ程度の地域もあった。水需要の6割をマレーシアに依存しているシンガポールの政府は市民に節水を呼び掛けている。マレーシアでも水不足が深刻化し、クアラルンプールでは2日から給水制限を敷いている。(山本康行、道下健弘)

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