インフラなど投資模索 関経連視察団が来イ 副大統領「適切価格の投資を」

 関西経済連合会の森詳介会長=関西電力会長=をはじめとする役員と事務局、報道各社で構成される関経連視察団36人が10日、来イした。関経連の大型視察団は2009年11月以来3年3カ月ぶりで、インフラや都市開発分野など技術の輸出も視野に、インドネシアでの投資機会を模索するのが目的。11日には、ブディオノ副大統領をはじめ、経済閣僚と相次いで会談し、投資環境の整備を要請。副大統領は「適切価格での投資を」との注文を付けながらも、関西企業の投資拡大に期待を示した。(田村慎也)

 視察団は、ブディオノ副大統領との会談で、エネルギー、上下水道などのインフラ、車両分野の関西企業の技術を紹介した。 
 ブディオノ副大統領は「特にインフラ、都市開発での積極的な参加を望む」と歓迎する意向を表明した一方で、「安全や環境に留意した関西のさまざまな技術に敬服しているが、お願いしたいのは価格。両国の利益に資するものにしてほしい」と日本側に配慮を求めた。06年には、ユスフ・カラ副大統領(当時)が「円借款は援助でなく融資」と発言し、地場企業の受注を優先すべきと主張しており、近年の経済成長で地場企業が力を付けていることや、中国や韓国企業が日本企業より低い価格でインフラ案件を受注していることなどを念頭に置いた発言とみられる。

■ダンピング問題も協議
 視察団は同日、ハッタ・ラジャサ経済担当調整相、ヒダヤット工業相、ギタ・ウィルヤワン商業相とも個別に会談。昨年12月にインドネシア政府が導入を計画した冷延鋼板のダンピング課税も議題に上った。
 インドネシアは、中国、台湾、韓国、日本などから冷延鋼板を輸入しているが、同水準の品質の製品は国内で調達できないのが現状。視察団は、自動車、電機などの分野の日系企業に影響が出て、国内の部品産業発展も阻害すると主張、課税の再検討を求めた。ヒダヤット工業相は「WTO(世界貿易機構)の規定に沿って、公共的な利益の観点から適切な最終判断をする」と回答し、カディン(商工会議所)と連携し検討を進める方針を示した。

■地方への投資を
 イ政府が進める経済成長促進・拡大マスタープラン(MP3EI)、首都圏投資促進特別地域(MPA)マスタープランについても協議した。ヒダヤット工業相は、25%の資金は自国政府で、残り75%は内外の民間による資本で実現させる計画を説明。鉱山資源が豊富にある地方への投資はさまざまな点で利益が大きいとして、地方への投資拡大を求めた。

■「生産地かつ消費地」
 森会長は報道陣に対し「中国のカントリーリスクが顕在するかしないかに関わらず、東南アジアは重要な市場」であるとし、特にインドネシアは「安定した経済成長を遂げている。日系企業の生産地であると同時に、消費地。大きく期待している」との認識を示した。
 視察団は12日、ジャカルタ・ジャパンクラブ(JJC)や日系企業を訪問。同日夜にインドネシア視察を終え、15日までシンガポール、タイで政府要人などと会談する予定。
 視察団の主なメンバーは次の通り(敬称略)。

 ▽団長―森詳介会長▽副団長―松下正幸・副会長(パナソニック副会長)、牧野明次・副会長(岩谷産業会長)、柏原康夫・副会長(京都銀行会長)▽団員―小椋昭夫・経済財政委員長(バンドー化学会長)、高島成光・国際委員長(共英製鋼名誉会長)、福島伸一・広域基盤委物流担当委員長(新関西国際空港会長)、大井篤・国際委副委員長(三井物産常務執行役員)、日高直輝・国際委副委員長(住友商事専務執行役員)、永井康雄・国際委副委員長(三菱商事代表取締役)、小林洋一・国際委副委員長(伊藤忠商事代表取締役)、小橋亙(日立造船取締役)、奥田真弥(新日鐵住金常務執行役員)、若林常夫(阪急電鉄常務取締役)、北村耕一(太平洋人材交流センター専務理事)、川邊辰也(関西経済連合会専務理事)。

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