3選手最大8カ月超に 日本人への給料未払い 2リーグ分裂のイ・プロサッカー

 インドネシアでプレーする日本人選手全員が給与の未払い問題を抱えている。未払いは昨期までに所属したチームからで最大8カ月半。東南アジア各国で日本人選手が増える中、インドネシアではプロリーグの分裂が給料の遅延や未払いの原因の一つになっている。海外に活路を見出そうとした選手からは「外国人選手に勧められない国」との声も上がっている。
 現在、インドネシアのプロチームに所属する日本人選手は足立原健二選手(28)=ペルシブ・バンドン所属、未払い分8カ月半=、松永祥兵選手(24)=グレシック・ユナイテッド所属、同5カ月=、酒井友之選手(33)=デルトラス・シドアルジョ所属、同1カ月=の3人。それぞれ現在所属するチームからは数週間の遅延はあるが、支払われている。
 昨期までインドネシアでプレーした柴小屋雄一氏(29)は5カ月分の給与未払いを大きな理由に引退を決めた。
 「昨年所属していたチームは給与未払いが普通だった」(松永選手)、「遅れても支払われるならましな方」(足立原選手)と話すように、インドネシアは給与未払いが常態化。国際プロサッカー選手会(FIFPro)が昨年12月に発表した調査結果によると、プロ2リーグの1部に属する計30チーム中25チームで最大10カ月分の未払いがあった。
 地元メディアによると支払いは徐々に進んでいるが、今月15日時点で少なくともインドネシア・スーパー・リーグ(ISL)に所属する6チームが未払いを抱えている。
 原因には、権力闘争を背景にサッカー協会が分裂し、2協会2リーグとなったことが挙げられる。国内サッカーの人気は二分され、スポンサー収入や入場料収入などが減少。元々あった給料未払い問題に拍車をかけた。
 国際サッカー連盟(FIFA)は2リーグ並立を問題視、統合を促してきた。昨年6月にFIFAの仲介で統合に向けた覚書を交わし、今年3月までの協会統合を目指しているが、これまでも再三FIFAの警告を無視しているため、実現には疑問符が付く。


◇酒井選手 責任者に直談判  
◇柴小屋氏 「続けたかった」

 浦和レッズなどに所属、神戸から戦力外通告を受けた酒井選手は「最後のチャンス。だめなら引退する」と覚悟を決め、2010年に来イし、プレーを続けている。設備不足、トレーナー不在、二人部屋での生活など「日本では考えられない」という環境にも慣れ、言葉も上達し「少しずつ楽しくなっている」と語る。
 給与が支払われなくなってからは、責任者に繰り返し直談判し、未払い分を少しずつ回収している。要求しない選手は半年分以上未払いだったという。
 昨年までペルセワ・ワメナに在籍した柴小屋氏は、給与未払いを大きな理由に引退を決めた。「来週払う」といった約束が破られることもしばしばで、積もった未払いは5カ月分。支払期限を明記した誓約書に責任者がサインする場をビデオで記録に押さえることもしたが、それでも支払われなかった。
 移籍も考えたが「日本でタイミング良く、良い仕事が見つかった」と帰国を選択。「未払いがなければ好きなサッカーを続けたかった」と漏らした。
 ワメナの担当者は選手25人の給料5カ月分が未払いと認めた。リーグ分裂によるスポンサー収益の減少が大きな理由とし、「1、2月中にリーグの運営会社から収入がありそれを未払いの給与支払いに充てる」と期限を明示した。
 日本で会社員を経験後、シンガポールでプロデビューした足立原選手は現在、インドネシアで3チーム目。以前在籍した2チームで計8カ月半の未払いがある。3カ月半の給与を支払っていないボンタンFCは連絡しても一切取り合ってもらえない状態だ。今のチームも支払いの遅延があり「支出の計画が立てられない」と嘆いた。
 松永選手も昨期所属したチームからの未払いが5カ月分。今期開幕までに支払うという約束だったがすでに開幕しており、約束はほごにされた形だ。同僚とともに支払いを求めている。
 路上に置いたテレビを囲んで大人数で観戦する光景が見られるなど、サッカー人気が高いインドネシアについて、選手たちは「サポーターが熱狂的で、プレーしていて楽しい。だが、今のチームで給与が支払われない状態となったら、インドネシアを離れざるを得ない」と口を揃える。
 FIFA紛争解決室仲裁人の山崎卓也氏は「未払い問題は世界で見られる」としつつもインドネシアは事例が非常に多いと指摘する。
 酒井選手は「他の選手には絶対勧めることは出来ない。外国人選手はプレーしたいと思わないだろう」と話す。助っ人外国人で戦力を増強するインドネシアのチームにとって2リーグ並立は自らの首を絞める逆風となっている。(堀之内健史)

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