公平な求人・求職を 渡日前に事前研修 JICAと労働移住省
国際協力機構(JICA)と労働移住省は六、七の両日、公共職業紹介サービスを改善するプロジェクトの一環として、試験的に導入が進められている八カ所の県・市の労働事務所の職員、モデル州となっているジョクジャカルタ特別州と中部ジャワ州の職員ら約三十人を集め、日本派遣に向けた事前研修を行った。
研修では、求職者・求人のデータベースの「BKOL(ブルサ・クルジャ・オンライン・)ナショナル」やサービス改善のための確認項目である「PES(公共職業紹介サービス)リスト」、プロジェクトの全体像のほか、日本の公共職業安定所(ハローワーク)制度、日本での研修スケジュールなどについての説明があった。
石田茂雄JICA専門家は「日本で学んだことを全国に発信できる人材を期待している。今回の研修により、労働事務所同士の情報交換が促進されることを願う」と語った。
労働移住省のトリアント労働市場課長は「サービスを改善し、近代化を進められるよう期待している」と話した。
質疑応答では、「日本ではすべての職業紹介がハローワークで行われているのか」「日本全国のハローワークのデータベースはつながっているのか」などの質問が上がったほか、日本の失業保険制度について質問が殺到した。
今年二月時点のインドネシアの完全失業率は六・八%。そのほかにも、短時間で不安定な就労をしている人は多数いる。さらに、レバラン(断食明け大祭)後や学校の卒業シーズンには、求職者が増えるという。
インドネシアでは、求人、求職の際に労働事務所へ届け出るように法律で規定されているが、現状では縁故や口づてによるものがほとんど。二〇〇九年から始まったこのプロジェクトでは、「BKOLナショナル」の導入と、専門職員の育成により、公平な情報管理のシステム構築を目指している。
企業にとっては、求人募集を労働事務所に出すことで、募集条件に合う人材をふるい分けてもらうことができるようになることも期待される。
日本に派遣されるのは計十二人。同省と州の代表者四人のほか、事前研修の最後に行われた作文試験の結果、県・市の職員八人が選出された。十一月末から約二週間日本に滞在し、日本の職業紹介の仕組みや現状について学ぶ。