汚職捜査で対立深まる 予算を盾に抵抗の国会 議員聴取断行のKPK

 汚職事件の捜査をめぐり、汚職撲滅委員会(KPK)と国会の対立が先鋭化している。労働移住省の汚職事件で国会予算委員会の関与が疑われているが、予算委側は「捜査を続ければ来年予算案の審議を中止する」とけん制。一方、KPKは三日、予算委副委員長の事情聴取を断行し、国会側はKPKの「強硬姿勢」に反発を強めている。一九九八年のスハルト政権退陣後の民主化の流れで大きな権限を付与された国会は、予算審議の過程で個別事業にも口を挟むようになり、予算委は「予算マフィア(予算ブローカー)」と呼ばれるほど汚職の温床になっているとされる。弱体化が指摘されるKPKが、政界の汚職にどれだけ切り込めるかは、汚職撲滅を最優先課題として掲げるユドヨノ政権の試金石として注目されている。
 労働移住省の移住プログラムをめぐる汚職事件では、インフラ整備事業の受注の見返りとして、企業が同省職員を通じ、予算委委員を贈賄した疑いが持たれている。
 KPKが予算委副委員長の事情聴取を行った三日には、汚職捜査での協力強化を目的に、国会とKPKの幹部のほか、国家警察のティムール・プラドポ長官、バスリフ・アリフ検事総長らを加えた会合が開かれた。
 会合で国会側は「KPKは事件を政治問題化させている」と批判を展開。「KPKを解散すべき」(福祉正義党のファフリ・ハムザ副幹事長)との強硬論も飛び出した。
 マルズキ・アリー国会議長は、国会側がKPKを解散させる意図を持っていることを否定しつつ、「多くの議員はKPKに失望している。強い権限を持つKPKが信頼できない人物に率いられている」と主張した。
 KPKのブシロ・ムコダス委員長は会合後、「われわれは脅しに屈することはない」と予算委への捜査を続行する意向を明言。
 非政府組織(NGO)国会監視市民フォーラムのセバスティアン・サラン事務局長は会合について「国会は予算委への捜査の件を問いただしたいだけだった。そのような姿勢は国民からの信頼を損なわせるだけだ」と批判した。

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