投資額、5年で13兆ルピア トヨタ・グループ 豊田社長ら大統領と会見 「インフラ、SI育成を」

 トヨタ・グループはインドネシアでの事業展開を一層加速させる。トヨタ自動車の豊田章男社長とグループ5社の本社社長は10日、ジャカルタの大統領宮殿でユドヨノ大統領と会見。豊田社長は、昨年で40年を迎えたインドネシア事業を今後も重視する姿勢を伝えるとともに、インフラ整備や裾野産業(SI)の育成に向けた政府のサポートを要請した。また、今後5年のグループ6社内の投資が、総額で13兆ルピア(約1100億円)に上ると明らかにした。(上野太郎、写真も)

 インドネシアに進出するトヨタ・グループ12社のうち、今回、インドネシアを訪問したのは、豊田社長のほか、デンソーの加藤宣明社長、豊田通商の加留部淳社長、トヨタ車体の網岡卓二社長、アイシン精機の藤森文雄社長、ダイハツ工業の伊奈功一社長の計6社のトップ。大統領との会見では、今後もグループを通じて、インドネシアの経済発展への貢献に向け事業展開を強化する意向を伝えた。
 これまでの約40年でグループ6社は約27兆ルピアを投資しているが、今年から5年での投資を一層加速させる。内訳は、トヨタの現地製造法人トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)社を通じたカラワン第2工場建設(投資額約5兆ルピア)、カラワン第1工場の11万台から13万台まで2万台の能力増強(同約3千億ルピア)、ダイハツの新工場(10月に操業開始、同2兆ルピア)やテストコース、デザインセンター(年内着工)、デンソーのファジャール工場建設(同、1兆400億ルピア)など。
 投資額などの詳細は未公表だが、トヨタはさらにエンジン工場の建設に向けた150ヘクタールの土地を取得。トヨタ車体は来月から現法で車両生産を開始、2011年に工場用地を購入したアイシン精機は主要部品の現地調達化と輸出拡大を進めるほか、豊田通商も渋滞情報配信システムなどの新分野への事業拡大に取り組む。6社の雇用人数は、今後5年で現在の3万2千人から4万1千人に増加する見込みだ。
 同日午後に中央ジャカルタのホテルで行われた記者会見で、豊田社長は「トヨタはインドネシアで35年前にキジャンを立ち上げ、それからもインドネシアの国民のためにどのような車が喜ばれるかを考えてきた。社内には『迷った時にはその国のためにはどちらがいいかを考えろ』という教えがある」とあいさつし、グループの事業を通じ、インドネシアの産業発展に寄与してきたと指摘した。
 インフラ整備について、「政府から期待されているのは、インドネシアを輸出拠点にすることと生産量拡大。モノを作るのはモノを運ぶことでもあり、港、空港など、民間企業では限界があるインフラ整備の支援をお願いした」と説明。裾野産業の育成では、現地調達率や雇用を一つの指標として、双方を引き上げるための取り組みを進めていくとともに、政府にも中小企業誘致における支援を要請した。
 先鋭化している労使問題については「リスクはどの国でもどの時代でも必ずある。(TMMIN社の)野波(雅裕)社長が言っていたように、常日頃の会話や接触でリスクを未然に防ぎ、従業員の要望、会社の目的、目標を絶えず、理解し合っていくための努力が必要」との見解を示した。

※追記(2012年11月26日)
 最終段落の「リスクはどのある」を「リスクはどの国でもどの時代でも必ずある」に訂正しました。

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