ポソで脅迫事件続発 キリスト教会放火 警察詰め所を爆破 紛争再燃に警戒

 22日早朝、中部スラウェシ州ポソで教会放火事件や交通警察詰め所爆破事件が続発し、警察官や警備員2人が負傷した。先月以降、ポソではキリスト教徒の民家を狙った小規模な爆弾テロや警察官虐殺事件などが相次いでおり、警察は、宗教紛争再燃を画策する過激派の煽動行為が活発化しているとみて警戒を強めている。

 現地からの報道によると、午前2時ごろ、ポソ市のパンテコスタ・マデレ教会で、何者かが募金箱に灯油をかけて火を付け、牧師の台所が延焼した。
 同6時15分ごろには、ポソ県カシントゥフにある交通警察詰め所で爆弾が爆発し、警察官と銀行警備員の2人が負傷する事件が発生した。
 爆発現場は県知事公邸やキリスト教系の高校がある市街地。タイマーや起爆装置が接続された手製爆弾が爆発したとみられる。詰め所付近で交通整理にあたっていた警察官が腕や背中に被弾、国営ラクヤット・インドネシア銀行(BRI)の警備員も負傷し、近くの病院へ搬送された。
 ポソでは今月9日、キリスト教徒のポソ県公共事業局職員の自宅で爆弾が爆発し、車などが損壊する事件が発生。ポソ市内のエクレシア教会で爆弾1個が見つかり、警察爆弾処理班が撤去した。
 16日には、イスラム強硬派団体「ジャマア・アンシャルト・タウヒッド(JAT)」の軍事訓練基地があるとされるポソ県タマンジュカ村の森林地帯で、JATの一味を掃討中の警察官2人が虐殺された。
 ポソ県警のエコ・サントソ本部長は、22日の爆弾テロは、最近続発している一連のテロ事件と関係があると指摘、「宗教対立をあおっている者の仕業だ」との見方を示した。
 一方で、テロ掃討作戦を展開する国家警察対テロ特殊部隊に対し、過激派グループが「宣戦布告」の書簡を送付したとの情報も広まっている。これに対し、ジョコ・スヤント政治・法務・治安担当調整相は22日、「脅迫している者が誰であっても追及していく」と述べ、ポソの市民は煽動に惑わされることなく、冷静に対処して紛争再燃を回避してほしいと呼び掛けた。
 ポソは2001年以降、マルクの宗教紛争が飛び火し、千人以上の死者が出るなど泥沼化。その後、鎮静化したが、断続的に暴力事件が発生してきた。
 国家テロ対策委員会のアンシャアド・ンバイ事務局長は、8月以降、中部ジャワ州ソロで続発した警察襲撃事件、首都圏各地で摘発した爆弾製造拠点の捜査から、過激派のメンバーがポソをフィリピン南部とジャワ島を結ぶ武器密輸の中継地点や軍事訓練基地にしているとの見方を示している。
 また法務人権省は5日、過激派の背後に、JAT主宰者のアブ・バカル・バアシル受刑者(反テロ法違反で禁錮15年)の一味がいるとみて、同受刑者を監獄島へ移送するなどして警戒を強めている。

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