イスラム政党支持漸減 世俗政党と垣根薄まる 新興政党にも後塵

 複数の民間機関の世論調査で、イスラムを基盤とする政党の支持率が減少し続けていることが明らかになった。イスラム社会団体ナフダトゥール・ウラマ(NU)を支持基盤とする民族覚醒党(PKB)創設者の故アブドゥルラフマン・ワヒド氏(通称・グス・ドゥル)が第4代大統領に就任するなど、スハルト政権退陣直後は大きな政治勢力となったが、現在は民族主義系とされる民主党、ゴルカル党、闘争民主党(PDIP)の「3大政党」に大きく水を開けられている。専門家からはイスラムの旗印だけでは有権者の支持を集めることは難しくなっているとの見方が挙がっている。

 インドネシア調査研究センター(リンカラン・サーベイ・インドネシア=LSI)が今月1日から8日に実施した政党別支持率調査では、ゴルカル党、闘争民主党(PDIP)、民主党に続き、2009年の総選挙に合わせて設立されたグリンドラ党が4位、昨年設立されたばかりの国民民主(ナスデム)党が5位に食い込んだ。
 イスラム政党はすべて支持率5%未満。LSIによると、上位5政党にイスラム政党が入らなかったのは、2004年の国会議員選挙以来、初めてだという。
 民間機関のサイフル・ムジャニ・リサーチ・アンド・コンサルティング(SMRC)が先月5日から16日に実施した調査では、イスラム政党の福祉正義党(PKS)、民族覚醒党(PKB)、開発統一党(PPP)の支持率は3%に達せず。国民信託党(PAN)は2%未満だった。
 LSIのアジ・アルファラビ調査員は「イスラムには『イエス』だが、イスラム政党には『ノー』という傾向が強まっている」と分析。SMRCのデニ・イルファニ調査員は「ナスデムとグリンドラは、これまでイスラム政党に投票していた有権者の支持をより集めるだろう」との見通しを示した。
 イスラム政党の国会議員選挙での得票率は、スハルト政権退陣直後の1999年と2004年は約4割だったが、09年には約3割に低下。14年の次期選挙ではさらに落ち込むとの見通しもある。
 岩手県立大の見市建准教授はじゃかるた新聞に対し、「ベールを羽織る人が増えるなど、日常生活でイスラム化が進んでいる中、ゴルカル党や民主党も選挙運動でイスラムらしさを打ち出すなどしており、かつてのような世俗政党とイスラム政党という垣根がなくなってきている」と述べ、新しい政策を打ち出せない限りイスラム政党の支持低下傾向は続くと予測。
 「アラブの春」後、エジプトなど中東諸国の政界でイスラム勢力が伸長しているが、スハルト元大統領の長期独裁後の流れを振り返り、「独裁政権の崩壊後は野党勢力に一定の支持が集まるが、イスラム政党というだけでは支持は続かない」との見方を示した。

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