「対人賠償の意識向上を」 損保総研と損保協会 海外セミナー開く

 損害保険事業総合研究所と日本損害保険協会、インドネシア損害保険協会(GIAI)は四日、中央ジャカルタのホテル・インターコンチネンタル・ミッドプラザで、損保業界における顧客サービスの向上を目指した日本国際保険学校(ISJ)海外セミナーを開催した。
 セミナーには日本やインドネシアの損保会社の社員ら約二百人が出席。開会式では大蔵省のイサ・ラハマタルワタ保険局長が基調講演を行ったほか、損害保険事業総合研究所の濱筆治理事長、日本損害保険協会の栗山泰史常務理事、在インドネシア大使館の牛尾滋公使らが出席。GIAIのコルネリウス・シマンジュンタック会長のあいさつの際には、東日本大震災の犠牲者への黙とうが行われた。
 セミナーでは、損害保険事業総合研究所の根本均海外研修部長が、一九九六年に施行された規制緩和による自由化以降の日本の損害保険業界を概観した後、日本やインドネシアの損保業界関係者らが、日本の損害保険システムに関して講演した。
 ISJは、国連貿易開発会議(UNCTAD)の勧告や東アジア保険会議(EAIC)の要請を受け、海外技術援助研修プログラムとして、損保総研と損保協会により一九七二年に発足。九一年には中堅、管理職層を対象にしたワークショップ形式の「上級コース」を設立し、九三年からは国際交流を推進するための「海外セミナー」をアジア十五カ国・地域を対象として毎年実施している。
 濱理事長は「他のアジア諸国は参加者が約百人だったのに対し、インドネシアは二〇〇四年と今回ともに唯一参加者が二百人を超えている」と損害保険への注目度の高さを強調。「ただ、インドネシアの損害保険制度はまだ発展途上。日本では車に関するリスクを補償する保険は五〇%以上を占めるが、インドネシアではまだ二〇%ほどで、主に対物保険が中心になっている。人間に賠償するという認識も低いため、対人賠償などのサービスを整えていく必要がある」と指摘した。
 栗山常務理事は「インドネシアでは子どもが車にはねられ死亡しても、賠償金が二十五万円程度しかでない例もある。行政も被害者を助けることができるような法制度をつくり、保険会社はその制度をバックアップしていき、消費者サービスを向上させる必要がある」と話した。
 損害保険市場について栗山常務理事は「保険業界は経済発展を追いかけるようにして大きくなるが、インドネシアの市場規模は世界標準で比べるとまだ小さく、発展段階にある。日本は少子高齢化によって、市場規模の拡大は見込みにくい。そのために現在はアジアを中心とする海外の市場に注目している」と語った。
 インドネシアでは、日本国際保険学校プログラムを通じ、一般・上級の保険コースにGIAIのフランス・ウイヨノ専務理事を含むインドネシアからの参加者百九十一人を受け入れるなどの活動を行っている。濱理事長は「ISJは国際交流。今後も保険を通じ、インドネシアに貢献していきたい」と抱負を語った。
 同セミナーは五日にも開催。上級コースなどの受講生らの同窓会も開かれる予定だ。

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