北スラウェシで防災研修 JICA 自治体の能力向上へ 自然災害の知見共有

 国際協力機構(JICA)は、北スラウェシ州政府と同州のすべての県・市の防災局の能力強化を図るプロジェクトで初めてとなる全体会合と研修を10日、州都マナドで開き、国家災害対策庁(BNPB)や各自治体防災局の職員ら約200人が参加した。2004年の20万人以上が死亡、行方不明となったスマトラ沖地震・津波の発生後、インドネシアでは防災能力の強化を加速させており、2007年の国家災害対策庁設立に続いて各州、県・市で地方防災局(BPBD)の設置を進めたが、設置間もない防災局はまだ十分に機能しているとは言えず、インドネシアと同様、大規模な自然災害が多発する日本の知見を生かして、プロジェクトでは各自治体が実践的な防災対策を構築することを目指す。(関口潤)
 
 プロジェクトの期間は昨年11月から15年11月までで、北スラウェシ州での取り組みを先行事例として全国の自治体に紹介する方針。最近も噴火を繰り返しているロコン山(トモホン市)などがある同州で研修するのは1年半―2年。
 各自治体に設置が義務付けられている防災局は2010年ごろから設置が広がり、現在は全国33州と300以上の県・市にある。だが、まだ人員も予算も不足している。プロジェクトでは州と各県・市の職員が、自然災害の被害の予測を地図に記すハザードマップの作成やそのために必要なデータ収集、警報の仕組み作り、各部局や住民との調整などをグループに分かれて研修。それぞれの分野の日本人専門家13人が期間中に複数回、短期滞在して指導する。
 JICAにとって、中央政府でなく地方自治体を主な協力相手とした防災能力向上プロジェクトとしては世界的にみても大きな規模になるという。
 JICAから国家災害対策庁に派遣されている徳永良雄総合防災政策アドバイザーは、04年のスマトラ沖地震・津波と昨年の東日本大震災を経て、両国の専門家から草の根レベルまで、相互の知見を共有すべきとの意識が高まっているとの認識を示し、「両国それぞれにいいところがあり、お互いにとって良い提案をする機会にしたい」と意欲を見せた。

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