「日本語環境増やしたい」 北マルク州テルナテで教室 持丸さん、サフリルさん夫妻

 2000年代初めに宗教抗争が続いた北マルク州テルナテで、日本人とインドネシア人の夫妻が、日本語の学習環境を整えようと奮闘している。茨城県出身の持丸智恵さん(41)と夫のサフリル・マフムッドさん(42)。北マルク・ムハマディア大学が1月に開設した日本研究センター「もみじ」で日本語を教えている。日本語に親しみを持つ住民が多い反面、日本語教育の環境が整っているとは言いがたい同州。持丸さんは「日本語を勉強したり使ったりする機会をとにかく増やしたい」と張り切っている。
 
 持丸さんは研修生として訪日していたサフリルさんと結婚。2006年にサフリルさんの故郷 の北マルクに移住した。
 同州には太平洋戦争中、旧日本軍が駐留したこともあり、片言の日本語を話す高齢者もいる。テレビドラマやアニメの普及で若者の間でも日本語への関心は高く、多くの住民が「知っている限りの日本語を使って話しかけてくれる」(持丸さん)など、日本語普及の素地はあった。
 一方、日本語学科を持つ地元大学はなく、高校数校で日本語を教えている程度。日系企業の立地もなく、在住する日本人は持丸さんを含め2人だけという。住民の高い日本語への関心とは対照的に、学ぶ機会、使う機会ともにほとんどない状況だった。
 ムハマディア大側から日本語教室開設の打診を受けた際、持丸さん夫妻は「日本語や日本に興味を持つ人の期待に応えたい」と、引き受けた。
 授業には大学内外から約30人が参加。まだ大学の正式なカリキュラムではないため、学生は通常の講義の合間をぬって教室にやってくる。高校生や社会人も受講しており、学校や仕事が終わった後、持丸さん方で授業をすることもある。 
 サフリルさんが研修生時代に使っていたテキストや子ども用の絵本などのコピーやパソコンで打ち込んで授業で配布するなど、教材確保に苦労しながらの授業だが、生徒の学習意欲は高い。授業開始当初は、ひらがな、かたかなを読むだけでやっとだったが、今では簡単な文章や漢字の読み書きができるようになった生徒もいる。
 機材だけでなく、教員の拡充など日本語教育を定着させるためには課題が山積みだが、長期的には日本の大学と提携、交換留学などで日本での学習機会も提供したい考えだ。
 持丸さん夫妻は授業で使う教科書や辞書、日本語を勉強できる絵本やDVD、パソコンやプロジェクターなどの資機材(中古可)の支援を受け付けている。問い合わせは持丸さん(携帯0821・9185・2294)まで。

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