犠牲者の48%が産科に集中  コロナ感染 死亡した医療従事者2172人

 2020年3月15日に国内感染が初確認された新型コロナウイルス。爆発的な感染拡大の中で医療機関はひっ迫し、感染者だけでなく医療従事者も次々と犠牲になった。インドネシア医師協会(IDI)のムハンマド・アディブ・クマイディ会長によると、コロナウイルスによる医療従事者の死者は2172人。このうち分娩に関わる産科勤務の医療従事者が全体の約48%を占めた。
 じゃかるた新聞の取材に応じたアディブ会長によると、犠牲となった医師は718人で、産科医が615人、専門医95人、歯科医46人などとなった。看護師は718人、助産師は421人だった。
 犠牲者が産科に集中した原因についてアディブ会長は、「医療行為の特性上、妊婦との直接接触が避けられない」と説明。防護服の着用など感染予防策をとっていても、妊婦との接触を避けることができない局面もあるとした。
 さらに感染拡大の中で医師の充足率も低下しており、極端な医療従事者不足の中で出産を控えた妊婦を受け入れることになるから、「そのしわよせは医療現場にいくが、最終判断は医療従事者としての使命感に任せるしかない」。
 院内クラスターで犠牲者が急増したのは、21年半ばに始まったデルタ株を含む変異株の感染拡大から。「患者が病院に押し寄せ、院内クラスターが起きた。来る日も来る日も死亡報告。しかし、院内には空っぽの酸素ボンベが並び、病室も満床で、生命が危険な状況に陥っている患者ですら、医師は何もできないという時期もあった」とアディブ会長は当時を振り返る。
 しかし、辛く苦しい経験ではあったが、「将来に生かすべき貴重な教訓をわれわれはたくさん得た」と指摘。IDIはコロナ感染が初確認された3月15日を「健康啓発デー」に定めるよう政府に対して提案しているという。(センディ・ラマ)

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