【スラマット・ジャラン】 豊かな表現へプラスに 「問題ない」精神の音楽 クラシック普及へ活動 ソプラノ歌手の郷古さん

 スイスで活躍するソプラノ歌手の郷古麻記子さん(39)が、夫の赴任に伴う2009年からのジャカルタ生活を終え、21日に日本へ本帰国した。郷古さんは現役のソプラノ歌手として、邦人コーラス・グループの「コール・ムティアラ」での指導や東日本大震災後のチャリティー公演などを行ったほか、インドネシアのクラシック界を引っ張る音楽家らと交流。伝統楽器のガムラン演奏も学んだ郷古さんは、インドネシアでクラシック音楽が真に根付くには「まだ1世紀は掛かるかもしれない」と厳しい見方を示す一方、「音楽にもティダ・アパ・アパ(問題ない)な精神が流れていて、無限大でないといけない音楽表現へ新しいアプローチを学ぶことができた。私の音楽人生にとってすごくプラスになった」と振り返る。クラシック音楽の基礎が普及した上で豊かな表現力を持つインドネシア独自の音楽が合わされば「すごく個性的な世界になると思う」との展望を示した。 

 スイス・ジュネーブの劇場専属でオペラ公演に出演してきた郷古さん。アジア出身者でその地位を得るのは難しく、インドネシアへの移住に周囲からは反対の声もあったが、スイスで出会ったインドネシア人ピアニストのチャンドラ・ダルスマン氏が「インドネシアの音楽や文化に触れることは、あなたにとってプラスになる」と背中を押した。
 インドネシアではガムランやワヤン(影絵芝居)の世界に触れた。膨大な決まりがあり、名人芸でないといけないというクラシック音楽とは正反対。インドネシアの音楽は音程などが厳格ではなく、「幅を持って表現できる。そういう可能性があるんだ」と気付かされる思いだったという。深夜に10時間以上に及んで公演を続ける姿勢にも驚嘆した。
 クラシック音楽の楽器は高価で庶民には手が届かない。「ジャワ・ジャズ」などジャズは世界的にも有名なイベントが開かれるが、クラシックは「インドネシアにあるのか」という程度の認知度。オーケストラもあるが、「ティダ・アパ・アパ」な面があり、国際レベルにはほど遠いという。
 そんな中、指揮者のアディ・MS氏や作曲家のフランキー・ラデン氏、チャンドラ氏ら世界で活躍したインドネシア人音楽家が母国へ戻り、地道な普及活動を続けている。郷古さんも彼らとともに舞台に立つなど、現役歌手としての貢献を模索してきた。
 今後はスイスのオペラ劇場での活動に重心を戻すが、今後もインドネシア人音楽家との交流を続け、彼らが日本や欧州で公演する際は全面的に協力するという。現役歌手としての活動を続けた後、「将来はボランティアとしてインドネシアでのクラシック音楽の普及活動にまたかかわれたら」と希望を語った。

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