海上高速、年末着工へ バリの新ランドマーク 来年のAPECへ大急ぎ 渋滞解消の決定打?

 バリ島のングラライ空港とヌサドゥア地区、ベノア地区を結ぶ全長9.7キロの海上高速道路の建設計画が進んでいる。2013年11月に開催されるアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議に合わせ、深刻化する空港周辺の渋滞の解消を目的に持ち上がったバリ島初の高速道路。バリの新たなランドマークとなるプロジェクトの完工期限まで1年半を切り、年末の着工に向けた手続きが急がれる。(岡坂泰寛)

 週末の午後2時、バリ島南部の観光地区を結ぶングラライ・バイパス。「10年前はこんなことはなかった」。数キロ続く渋滞にレンタカー会社の運転手として働くバリ人の男性はつぶやいた。空港へ向かうロータリーでは工事も重なり、複数の車からクラクションがけたたましく鳴らされていた。
 「市街地周辺を昼に移動するのは、時間の無駄が多い」と話すのは、首都近郊の西ジャワ州ボゴールからバリに移住した邦人女性。ジャカルタ中心部の渋滞に比べると地域は限られるが、混雑状況は肩を並べるひどさだ。渋滞地区を避けてホテル予約をする観光客もおり、宿泊業界にも影響を与えている。
 主に空港周辺で深刻化している渋滞の原因は、外国人観光客の増加や島民の二輪・四輪車保有台数の増加、インフラ整備の遅れなどだ。観光地やホテル、レストランが集まるヌサドゥアとジンバラン、クタ、デンパサール市街を結ぶ主要道路は全長23キロ。1960年に開通したが、半世紀が過ぎて交通量が想定を大きく上回っている。
 バリ州政府によると、2011年8月時点でバリで登録されている二輪・四輪車数は250万台で、全体の約8割が二輪車で、年々台数が増加している。
 そんな中、洋上を通る高速道路の開発に交通量減少の期待がかかる。3地区を結ぶ有料道路は、湾中心部に洋上ジャンクションを設置する構造。島南部から北部へ抜けるために空港周辺を通る必要がなくなるが、利用率によって成果は変わってきそうだ。
 国営高速道路管理・運営会社のジャサ・マルガ社によると、高速道路には二輪車専用車線も設置。料金は自動車1台につき1万ルピアほどを想定している。速度上限は時速80キロに設定する予定という。
 湾の景観が変わるとの懸念に配慮し、建設によって一時的に伐採されるマングローブ海岸の再生に約20億ルピア(1680万円)を充てるなど対策をとっているが、ホテル関係者からは建設が始まってから苦情の声が高まる可能性もある。

■協調融資、近く合意
 ジャサ・マルガ社は13日、バリ島のングラライ空港とヌサドゥア地区、ベノア地区を結ぶ全長9.7キロの海上高速道路建設について、複数の銀行による1兆ルピア(約84億円)規模の協調融資の契約で、近く銀行側と合意すると明らかにした。
 同高速道路の総工費は2兆ルピア(168億円)に上る見込み。協調融資は、バンク・セントラル・アジア(BCA)と国営マンディリ銀行、国営バンク・ヌガラ・インドネシア(BNI)間での契約。ジャサ・マルガ社や国営空港管理会社の第二アンカサ・プラ社などが共同で設立したジャサ・マルガ・バリ・トール社が建設を主導する。
 プロジェクトは2011年12月にスタート。現在のところ、建設は今年12月に始まり、来年中ごろに完工の予定だ。ダフラン・イスカン国営企業担当相は14カ月以内に工事完了を目指すことを表明している。

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