BKPM長官にハティブ氏 大統領が新人事発表 保健相はムボイ氏
ユドヨノ大統領は13日、西ジャワ州のボゴール宮殿で、ギタ・ウィルヤワン商業相が兼任していた投資調整庁(BKPM)長官に国家経済委員会副委員長で経済学者のハティブ・バスリ氏(46)を任命するなどの人事を発表した。インドネシア大学経済学部出身の経済テクノクラートとして、スリ・ムルヤニ前蔵相(現世銀専務理事)の系譜を次ぐハティブ氏は、世界経済が混迷する中、直接投資の誘致促進による持続的な経済成長モデルの構築を目指すことになる。
先月亡くなったエンダン・ラハユ氏の辞任により空席となっていた保健相には、小児科医のナフシア・ムボイ氏(71)、4月に急逝したウィジャヨノ・パルトウィダグド氏が務めていたエネルギー鉱物資源副大臣には、石油・ガス上流事業運営機関(BPミガス)次官(運営・管理担当)のルディ・ルビアンディニ氏(50)を任命した。
ユドヨノ大統領は、ハティブ氏の任命について、「国家経済委でも積極的に活動し、経済と実業界に関連する有益な意見を提供していた」と説明。ハティブ氏は国営アンタラ通信に対し、「世界経済が欧米の危機の影響を受ける中、投資促進を図るのは容易な任務ではない。経済成長を支えるために投資が大きな役割を果たせるよう、すべての関係者の努力が必要になる」と協力を呼び掛けた。
また、国土庁(BPN)長官にはヘンダルマン・スパンジ元検事総長(65)を任命。大統領は、土地に関する争議は法律に絡むものが多いため、法律の専門家であるヘンダルマン氏への期待を示した。
■大統領「副大臣は必要」
憲法裁が今月初め、副大臣について規定している法律の説明書きを違憲とする判決を下し、副大臣の必要性を問い直す声が上がる中、大統領は「副大臣を置くのは、大臣の責務があまりにも重すぎる省があるためだ。蔵相などは、政策を決定しなければならないだけでなく、国会との協議にも時間を割かれ、国際会議での協力関係構築も必要になっている」と述べ、改めて副大臣職の必要性を訴えた。
「われわれも当然、節約ということに気を配っている。組織や政府における実際の任務とその効果を算定した上で、予算を割いている。予算の無駄遣いという報道もあるが、実際はそうでない」と強調した。
◇ナフシア・ムボイ保健相
1940年7月14日、南スラウェシ生まれ。71歳。インドネシア大学で学士、ベルギーの大学で公共衛生の修士号を取得。
78―88年に東ヌサトゥンガラ州知事を務めたアロイシウス・ベネディクトゥス・ムボイ氏の妻。知事夫人時代に地域の行政サービス向上に努めたとして、86年にアジアのノーベル賞ともいわれるマグサイサイ賞を夫妻で共同受賞。保健省に勤務したほか、82―87年に国民協議会(MPR)議員。90年代後半には、初のアジア出身者として国連子どもの権利委員会委員長を務めた。2006年から国家エイズ対策委員会の上級事務局長、国家女性委員会副委員長。
◇ムハマッド・ハティブ・バスリ投資調整庁長官
1965年8月22日、ジャカルタ生まれ。46歳。92年にインドネシア大学(UI)経済学部で学士。豪州国立大学で博士号。
UI経済学部経済社会研究所の研究員や所長、世銀やアジア開銀といった国際機関のコンサルタントなどを歴任。2006―10年まで蔵相特別補佐官、08年にはG20で、ユドヨノ大統領のシェルパ(大統領個人代表)などを務める。
アストラ・インターナショナル社などの社外理事も務め、10年から国家経済委(KEN)副委員長。ユドヨノ政権の経済政策の立案にも深く関わり、石油燃料値上げの必要性を主張してきた。