「今できる恩返しを」 気仙沼の鈴木さん、パレード再開へ 支援の輪広がる

 宮城県気仙沼市で東日本大震災が発生するまで10年間行われてきた「バリ・パレード」の仕掛け人、鈴木敦雄さんが4日から23日までの日程でインドネシアを訪れ、津波で失った衣装や道具集めに奔走している。鈴木さんの来イは4月に続いて今年2回目。8月11日に「インドネシア・パレード」と名前を変えて復活を目指しており、本番が近づく中、在インドネシアの邦人や元日本留学生による支援活動も活発化し始めている。

 鈴木さんは8日、中央ジャカルタの在インドネシア大使館を訪れ、島田順二公使や山岸正裕領事部長らと面会した。島田公使は、昨年のジャカルタ日本祭りでユドヨノ大統領が贈呈したインドネシアの竹楽器アンクルンを演奏する小学生の姿が放映され、気仙沼とインドネシアの交流がジャカルタでも知れ渡ったと紹介。「復興の過程を通じて日本とインドネシアの関係がより深まればという思いを大使館も持っている」と語った。
 鈴木さんは遠洋マグロ漁船の船員の大半がインドネシア人男性で、震災前には水産加工場で働くインドネシア人女性が増えてきていたと説明し、「復興の過程でインドネシアの方々の力が必ず必要になってくる」と協力継続の必要性を強調した。

■厄除け人形も気仙沼へ
 鈴木さんは同日夜、在ジャカルタの邦人有志やインドネシア人元留学生らが発足させた「気仙沼インドネシアパレード復興支援会」との懇親会に参加。支援会では、会に参加するライオンズクラブ・ジャカルタ・モナス・グリーン支部のメンバーがインドネシア全国のライオンズクラブに協力を呼び掛け、西パプアからアチェまで各地の伝統衣装約100着を集めた。
 鈴木さんは「私だけでなく、パレードに参加するすべての人が皆さんの支援をきちんと理解してパレードに臨みたい」と感謝の意を示した。
 ライオンズクラブはジャカルタ土着のブタウィの厄除け人形「オンデル・オンデル」も気仙沼パレードに寄贈する。15日には鈴木さんやジャカルタ特別州のファウジ・ボウォ知事も参加し、南ジャカルタでオンデル・オンデルや衣装の寄贈式を行う予定。
 滞在中、バリではすでに発注していた約3メートル弱ある巨大なオゴオゴ(張りぼて人形)の製作現場を確認。城田実・駐デンパサール総領事とも面会した。日本語フリーペーパー「アピ・マガジン」の呼び掛けで、約50着の衣装が集まった。国際協力機構(JICA)東北支部の紹介を受け、趣旨に賛同したガルーダ航空が安価な航空券を提供するなど、パレード再開へ向けた支援の動きが広がっている。

■伝統衣装の寄付募集
 「復興はまだ。復旧も見えない段階」と鈴木さん。水産加工場で再開にこぎ着けたのはまだ約2割で、多くの人は無職の状態が続き、大きな借金を背負っている人もいる。鈴木さん自身も経営していたオーディオ店の再開の目処はまったく立たず、仮設住宅での暮らしが続いている。
 だが「インドネシアの人の力を借りないと気仙沼の水産の復活はない」のに加え、「ユドヨノ大統領がわざわざ足を運び、気仙沼に200万ドルの寄付をしたことは大変なこと」と鈴木さん。「今できるインドネシアへの恩返しはこれだけ」とパレードの再開へ鈴木さんらは前に向かって進んでいる。
 パレードは8月11、12の両日に行われる気仙沼みなとまつり内の行事として、12日に行われる。約100人がパレードに参加予定。ジャワの伝統衣装の「クバヤ」や腰巻きの「サルン」など、パレードで使用する衣装がまだ不足している。
 衣装の寄付など協力に関する問い合わせは、「パレード復興支援会」の赤井さん、佐々木さんまで。パレードへの参加希望者も募っている。

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