ナショナルチームを指導 今後も柔道で日イ交流 仙石常雄さん

 バリ州で現地の子どもたちに柔道を教える仙石常雄さん(77)。ベトナム・ハノイで5月に開催予定の東南アジア競技大会(シーゲームス)に向け、インドネシア柔道ナショナルチームコーチとしてチームの最終調整に入っていた。西ジャワ州デポック市の軍営内の練習施設で柔道とインドネシアにかける思いを聞いた。

 シーゲームスは今回31回目。2021年に開催を予定していたが、新型コロナの影響で延期。1年越しの実施となる。
 「東南アジア諸国連合(ASEAN)各地域で、実力に大きな差はない。ただ、最近はフィリピンが勢いがある」。こう切り出した仙石さんは今大会で、3つのメダル獲得を目指している。
 インドネシアのナショナルチームはジャカルタ、西ジャワ、バリ出身の選手を中心に18~28歳の男子12人、女子13人で構成されている。デポック市で25~27日に開催される全国大会の成績次第では、「メンバーの入れ替えも念頭に置く」という。
 仙石さんが初めてインドネシアへ訪れたのは1977年。国際交流基金による日本の文化を知ってもらうための事業で派遣され、柔道普及を目的に国内各地を巡った。勤めていた警視庁を休職しての決断だった。
 「家計を支えるために子どもたちがたばこを売ったり、靴磨きをしてお金を稼いでいた」。当時、貧富の差が激しく衝撃を受けた仙石さんは、国内の子どもたちに「柔道を教えたい」という夢を持った。
 仙石さんは警視庁を退職した後、千葉県柏市にあった自宅を売り退職金と合わせて、2007年、バリ州ギアニャール県で「仙石インターナショナル柔道ホール」を建設。夢を叶えた。
 「選手を育てる一方、柔道を通じて日本の武道の精神を学んでほしい。道場に上がる時、履物のつま先を外に向けそろえる『出船』、時間の厳守など礼法を重視している」
 仙石さんの道場で柔道を学ぶ子どもたちは70~80人いた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現在は10人にまで減っているという。「子どもたちの数が減ってものびのびと柔道を学んで欲しいという気持ちは変わらない」と思いを語った。
 仙石さんはシーゲームス終了後、自身が立ち上げたNPO法人「柔道で世界と手をつなぐ育成クラブ」の解散を視野に入れている。各国の活動を支える日本国内の支援組織だったが、「会員の平均年齢が高くなった。お世話になった会員に負担をかけたくない」と寂しげな表情を見せる。
 ただ、仙石さんの気持ちは変わらない。「今後もインドネシアの子どもたちに柔道を教え、審査員の指導強化にも力を入れていきたい。元気があるうちは活動を続ける。昔からやっていたことだし、これが昔からの夢だった」と言葉に力を込めた。(長田陸、写真も)

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