43人からの出発 ファディラ代表に聞く 開校10周年(中)

 開校当初の園児・児童は43人。2011年に貧困地域の教育を支援しようと設立されたヒカリ小学校(バンテン州南タンゲラン)だが、「当時は近隣住民から疑問を投げかけられた」。同市の教育法人ヤヤサン・スマラクの代表で、学校設立者の1人となるファディラ・ハシム氏は当時の苦労を語った。

 ヒカリ小学校は11年2月に入園・入学の募集を開始した。これに平行してファディラ氏は周辺住民を学校に招待。学校の施設を見学してもらった。
 しかし、当時は教室が3つだけと規模が小さいことから、「これは本当に学校か?」と住民たちから批判的な声が上がった。住民たちはひとまず学校見学には来るが、入学手続きに進むことはほとんどなかったという。「当時は園児25人、児童18人の計43人しかいなかった」とファディルさんは語る。
 そんなヒカリ小学校は現在、園児60人、児童372人と計432人を抱える学校に成長。「教育の質や立派な施設が評価された。徐々に知名度が上がり、隣町からの入学希望もある。園児・児童数が増えすぎ、入学を断ることもある」(ファディル氏)。
 貧困地域の教育援助のために設立されたヒカリ小学校では母子家庭の授業料は免除される。授業料を納めることができない家庭は、保護者が学校で月に1~2回勤務、牛やヤギの糞を学校に持ち込み堆肥をつくることでも学費を免除する。
 ただ、開校当時の11年に比べて地域の貧困層は減少傾向にある。ファディル氏は「現在は中間層の家庭の子どもも受け入れている。経済状況、宗教、人種、さまざまな環境で育った子どもたちが一緒に遊び、勉強する。未来のリーダーとなる子どもたちが多様な価値観を持って欲しい」と自身の教育価値観について述べた。
 04年に富山大学で博士課程を修了したファディラ氏。合気道三段を所有しており、日本で学んだ道徳教育や武道の精神を学校の教育方針に取り入れているという。(長田陸、写真も)

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